飼い方・育て方

犬の複数飼育で失敗しないコツ・準備するコツ

#犬の複数飼育 #犬の多頭飼い

「初心者でも犬の複数飼育はできるの?」
「犬の複数飼育をするときには、どういうことに気を付ければいいの?」
「犬の複数飼育のときに、ごはんや散歩の方法はどうしたらいいの?」
犬の複数飼育に憧れる方や検討中の方の中には、不安を抱いていたり飼い方が分からなくて困っていたりする方もいらっしゃると思います。
確かに複数飼育は、単独飼育以上に気を遣わなければならない点が多いため、あらかじめ注意点を把握したうえで飼育を検討することが大切です。
この記事では、犬の複数飼育で失敗しないためのコツや準備の方法について、解説します。

1.犬の複数飼育をする前に確認すべきこと

最初に犬の複数飼育をする前に、最低限チェックしておくべきポイントを4点紹介します。

これらのポイントを押さえておかなければ、複数飼育してからうまく飼育できなくて困ってしまったり、トラブルになってしまったりする可能性があります。

1-1. 経済的な負担

犬の複数飼育をする際には、単独飼育のときよりも経済的に負担がかかります。

負担が増える項目としては、次の項目があります。

  • 食費
  • 医療費(ケガや病気にかかった際に動物病院でかかる費用・ノミダニ・フィラリア予防薬・ワクチン接種やサプリメントなどにかかる費用)
  • 雑費(トリミング費用・旅行時のペットホテルにかかる費用・リードやケージなどの日用品・トイレ用品にかかる費用)

これらの項目の中で、食費についてはまとめ買いなどをすることで費用を多少は抑えることができます。

しかし、犬たちの年齢の違いや、アレルギーの有無によっては、個々のフードの種類を用意する必要もあります。

医療費は基本的に安く抑える手段がないため、基本的には単独飼育の2倍の費用がかかることを想定しておきましょう。

しっかりとペット用の貯蓄をしたり、ペット保険に加入しておくなどの備えが必要です。

犬1頭の飼育にかかる年間の費用はおよそ10万~20万円(小型の室内犬の場合)といわれています。

2頭を同時に飼育する場合には、単純に倍の必要がかかることを理解しておいてください。

1-2. 犬の大きさ

犬の複数飼育をする際には、基本的にはサイズの近い犬同士を飼うようにしましょう。

その理由は、大きさの異なる犬を複数飼育すると、小さな犬が大きな犬の下敷きになってケガをしてしまうことがあるためです。

また、大きさが異なるとごはんや散歩の量なども大きく異なるため、手間がかかってしまいます。

1-3. スペース確認・確保

犬の複数飼育の際には、住環境について犬にあったスペースの確認・確保も大切です。

部屋数は、自由に出入りできる部屋数が飼育する犬の数+1あることが適切な条件の目安です。

部屋数が不足してしまうと、パーソナルスペースが確保できないため、愛犬にとってのストレス要因になってしまいます。

また、感染症などの病気の際には看護のため隔離する部屋が必要になるからです。

また、スペースの条件として、特に注意すべき点は以下の4点です。

  • 賃貸物件の場合、複数飼育が禁止されている場合がある
  • 近隣の住民に対して迷惑になる可能性がある
  • 複数飼育をするためには、愛犬のお気に入りの場所、トイレ・ベッド・ケージの確保が必須
  • 自治体によっては条例で複数飼育を禁止している所もある

特に賃貸物件の場合には、場所の確保や近隣の住居への配慮が重要です。

1頭既に飼っている場合には問題ないと考えがちですが、隣家の方にとって1頭と2頭とでは大きく異なります。

飼い始めてから近隣の住人とトラブルになってしまうと、取れる対応がほとんどなくなってしまうため、飼い始める前に細かくシミュレーションをすることが重要です。

1-4. 飼い主さんの時間的余裕

飼い主さんの時間的な余裕も重要です。ポイントは、以下の2点です。

  • 1頭ずつと接する時間が十分に取れること
  • 慣れるまでは、個々の犬を個別に散歩させることもあるため、散歩の時間が十分に取れること

2頭を同時飼育するとは言っても、2頭同時に接すれば時間的な負担は増えないと思われがちですが、特に慣れるまでは1頭ずつ十分に接する時間が必要な場合があります。

2.犬の複数飼育をするために必要なこと

犬の複数飼育をするために必要なことを5点解説します。

複数飼育の際にはこれらのポイントを押さえなければ、問題行動や愛犬のストレスに繋がってしまうため、飼い主としての責任を果たすためにも必ず押さえておきたいポイントです。

2-1. 不妊去勢手術

複数飼育の際に必ずしておきたいのは、不妊去勢手術です。

不妊去勢手術をおこなう主な理由は、以下の通りです。

  • 発情期がくるたびに精神的に不安定なり、ストレスなることがあるため
  • 特に異性同士での複数飼育の場合には、繁殖しやすいため
  • 同性同士で複数飼育をする場合であっても、ストレスによる問題行動を起こすため

ストレスによる問題行動を具体的に紹介すると、次のような行動が挙げられます。

  • よく吠えるようになる
  • ケンカをする
  • マーキングのため、不適切な排泄行為をする
  • 自傷行為をする(手足をなめる)
  • 家から出て放浪する

結果的に、愛犬がケガをしてしまったり、近隣住宅の迷惑になってしまったりするなど、大きなトラブルを引き起こしてしまうことになりかねません。

2-2. 不仲・マウント・上下関係に注意

犬同士の関係性にも注意する必要があります。

犬は、ライバル関係になりやすいため、縄張り争いをしたりマウントを取り合ったりするなどの理由からケンカをしてしまうことがあります。

犬同士が仲良く過ごせるかどうかは、相性による部分も大きいため、実際に飼育してみるまでは確認しづらい部分もありますが、縄張り意識が強くなる成犬になると余計に飼育が難しくなる傾向が見られます。

また、犬同士のケンカの種になる可能性があるポイントとして注意したいのが、飼い主さんの愛情です。

犬は嫉妬しやすい動物なので、飼い主さんの愛情が自分よりも他の犬に強く注がれていると感じた場合、攻撃的な行動に出るケースがあります。

それぞれに平等に愛情を注いであげることが大切です。

2-3. しつけ

元々犬を飼っていて、新たに犬を招き入れるときに、新しい犬のしつけは元々の犬がしてくれるため必要ないという意見があります。

しかし、結論からいえば、先住犬がしつけをしてくれるケースはごく稀なケースであり、新しい犬のしつけも飼い主さんが責任をもっておこなう必要があります。

むしろ、新しい犬のしつけをきちんとしないときには、先住犬が新しい犬の行動を真似してしまって、問題が大きくなってしまうことがあります。

例えば、やかましく吠えたり、人を噛んだりするなどの行動は、近隣住民とのトラブルにもなりかねないため、責任を持ってしっかりとしつけをおこないましょう。

2-4. グッズの用意

複数飼育をする際には、トイレ・ケージ・ベッドなどを1頭ずつそれぞれ用意する必要があります。

これらを個別に用意することで、愛犬にも落ち着けるスペースができ、精神的にリラックスすることができます。

また、ケージの準備と併せて考えておきたいのが、緊急時の対応です。

例えば、大きな地震が起こった際に、1頭の場合であればキャリーバッグに愛犬を入れて一緒に避難することができますが、複数飼育の場合には1人で2つのキャリーバッグを持って避難することは難しいでしょう。

スムーズに避難できるよう、さまざまな状況を事前に想定しましょう。

2-5. 分離不安・ストレス対策

犬の強いストレスは、分離不安や問題行動につながります。

複数飼育の場合には、先住犬と後から来た犬と両方が強いストレスを感じてしまうリスクがあります。

上述の通り、犬は嫉妬を感じやすいためです。寂しさによるストレスにより、吠えてしまったり、飼い主さんの後追い行動をしたりするなどの問題行動が見られるようになります。

また、分離不安障害を発症すると、問題行動がより激しくなってしまいます。

場合によっては、モノを壊してしまったり、噛みついたりしてしまうなどの行動に出ることもあるため、対処が必要です。

3.犬の複数飼育のコツ

複数飼育によるリスクや注意点を踏まえたうえで、トラブルを回避するための複数飼育のコツを3点解説します。

3-1. 迎え方に注意する(ペットショップ・保護犬)

最初のポイントは、迎え方に注意することです。

犬同士はライバル関係になりやすいことと相性があることを意識したうえで、以下の工夫をすることが効果的です。

  • ペットショップで犬を買う場合には、ペットショップに先住犬を連れて行く
  • 先住犬と極端に大きさが異ならないか年齢が離れすぎていないか確認する
  • 保護犬の場合は、トライアル期間を利用して慣らしていくなど、相性やしつけの大変さを見極めてから飼育する

このように、少しずつ犬同士の関係性や複数飼育の環境に馴染んでもらうことにより、スムーズに新しい犬を迎え入れる環境を整えることができます。

また、先住犬の性格、迎えたい子の性格をしっかり見極めた上で複数飼育を始めることがポイントです。

複数飼育に向かない先住犬のタイプは、興奮しやすくて攻撃性がある、問題行動を抱えている、過度に憶病な犬、甘えん坊で飼い主さんへの依存心が強いなどがあげられます。

飼い主さんはよく性格を理解してあげることが大切です。

3-2. 同性の方が飼いやすい

犬の複数飼育は、オスとメスの異性同士よりも、同性同士の方が飼いやすい傾向があります。

異性の犬を飼うと、メスのヒート(生理)の際に、愛犬が発情してしまいコントロールが難しくなることがあるためです。

ただし、避妊手術をおこなうことにより、メスとオスとの組み合わせは仲良く過ごしやすいという傾向もあります。

また、オス同士の場合には、ライバル感情を持ちやすくケンカをしやすいことにも注意が必要です。

結局のところ、性別だけでは一概にいえない部分があることも理解しておきましょう。

ただし、特に不妊手術をおこなっていない犬に関しては、ヒート対策が非常に重要であることは間違いありません。

3-3. ヤキモチ対策をする

犬が嫉妬しやすいという特性を踏まえてヤキモチ対策をすることも大切です。

ヤキモチ対策をする際に注意したいことは、先住犬に対してより慎重に対応をすることです。

常に、先住犬を優先することにより、先住犬の気持ちが満たされることが多いのですが、ポイントは形式的な対策ではなく本質的な対策が求められることです。

また、注意点として過干渉に注意することも大切です。なぜなら、犬同士の関係性は、各々自分たち同士で犬社会を作るので、干渉すると犬同士で良い関係性が築きにくくなってしまいます

4.複数飼育の散歩・ごはんのやり方

愛犬の複数飼育で大きなポイントになるのは、散歩とごはんの与え方です。

【散歩】

散歩のさせ方のポイントは、まずは1頭でしっかりと散歩ができるようにしつけをすることです。慣れてくれば2頭同時の散歩も可能ですが、慣れないうちに同時に散歩をさせようとすると次のようなトラブルが起こりえます。

  • 糞尿の始末をする機会が増えるため、一つひとつの対処に時間がかかってしまう
  • リードが絡まってしまい、絡まっているリードをほどいている間にもう一方の犬が逃げ出してしまう、といったトラブルが生じてしまうことがある
  • しつけが行き届いていない場合、拾い食いなどが起こってしまうことがある

基本的には一頭ずつの散歩が原則ですが、複数の犬を同時に散歩させる際には、リードの長さやサイズがフィットしていることが大切です。

また、一頭ずつ散歩させる際には、先住犬を先に散歩に連れ出すなど先住犬への十分な配慮が大切になります。

【ごはん】

  • 複数飼育の際のごはんは、一頭ずつお皿を別々に用意する必要があります。その際に、安心できる所でごはんを与えるなど環境に配慮する必要があります。そうすることで、ごはんの摂取量や食べ方から健康状態が把握できます。
  • 先住犬から出してあげるといったように配慮をする必要があります。(3頭以上の犬を飼っている時には、古くからいる順で与えると良いでしょう)
  • 序列通り(家に古くからいる順)にごはんを与えることで愛犬は飼い主さんのいうことをよく聞いてくれるようになります。

5.まとめ

犬の複数飼育をするためには、飼い主さんの経済的な負担・犬の大きさ・スペースの問題・時間的な余裕について検討する必要があります。

これらのポイントをクリアしてから飼育しないと、後から大きなトラブルが発生してしまう可能性があります。

また、複数飼育ならではの注意点として、不妊去勢手術・愛犬のストレス・近隣の住民への迷惑・愛犬同士の関係性・必要なグッズの用意などの対策が必要になります。

複数飼育は、飼い主さんにとってはとても夢のあるものだと思います。

愛犬同士が仲良くしている姿は、とても微笑ましくて、飼い主さんが穏やかな感情を抱くポイントにもなるでしょう。

だからこそ、注意点をしっかりと押さえて、責任のある行動を心がけるようにしてください。

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