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犬にとってのグルコサミンの効果|関節の痛みに効果はある?

#グルコサミン #犬の関節痛

グルコサミンは、人間用のサプリメントとして一般的に浸透している栄養素です。
そして、ドッグフードや犬用のサプリメントにもグルコサミンはかなり多く使用されていることがわかります。
人間用のグルコサミンは、膝や関節の痛みやトラブルを持っている方がよく摂取している栄養素ですが、犬に対してはどのような効果が期待できるのでしょうか?
そもそも、犬はグルコサミンを積極的に摂取すべきなのでしょうか?
この記事では、犬とグルコサミンとの関係について解説します。
摂取のメリットや注意点についても解説していますので、愛犬の健康・幸福を考えるすべての飼い主様にとってお役に立つ情報となるでしょう。

1.犬と関節痛・関節炎

グルコサミンに期待される効果や働きを知る前に、まず犬にとって関節痛や関節炎がとても身近であることを理解しておく必要があります。

関節に痛みを発症している犬は、グルコサミンを積極的に摂取すべきケースが多々あるためです。

この章では、犬にとっての関節炎の原因や症状の見分け方を解説します。

1-1.  関節炎の原因

一般的に、関節炎は骨と骨との関節のクッションである軟骨に異常がおき、炎症が生じたときに起こります。

具体的には、軟骨が薄くなったりすり減ったりする状態になります。

クッションが正常に機能していない状態で関節を動かすと、骨の端どうしがこすれ合い痛みを伴うようになります。

軟骨のクッションに異常が生じる原因はさまざまです。

  • 外傷
  • 病気
  • 加齢による消耗
  • 先天的に関節が弱い

犬の場合、加齢によって関節炎を発症することが多いです。

さらに、大型犬は小型犬よりも関節に負担がかかりやすく、関節炎を発症するリスクは高いです。

1-2.  関節に痛みを感じている際のサイン

関節に強い痛みを感じている場合、愛犬はさまざまなサインを出します。

主な例は以下のとおりです。

  • 散歩を嫌がる
  • 段差の上り下りを避ける
  • 動作がゆっくりになる
  • 運動や遊びの量が減る
  • 尻尾が下がっていることが多い
  • 足を引きずったり、ケンケンしたりするなど、歩き方に異常が見られる
  • 元気がないように見える
  • 寝ている時間が長くなる

これらの症状が現れている場合、もし関節痛や関節炎ではなかったとしても健康状態が望ましくない状態であるのは確かです。

関節炎には、体に大きな病気が隠れていることがあります。

かかりつけの獣医師に症状について相談しましょう。

1-3.  特効薬はない

関節炎は、劇的に効く特効薬はありません。

また、関節炎が発症した場合に自然治癒することもなく、むしろ時間が経過すればするほど症状が重くなるリスクが高まります。

関節炎が疑われる場合には動物病院での治療や生活習慣の改善を検討する必要があります。

そして、日々の予防対策が大切になっていきます。

その対策の1つとして考えられるのがグルコサミンの摂取です。

グルコサミンは関節の痛みの緩和以外にもさまざまな効果が期待されますが、関節の痛みは特に重要なテーマなので前提条件として理解しておきましょう。

2.犬用サプリメントやドッグフードにも配合されるグルコサミンとは?

日頃TVなどでグルコサミンの情報はよく目にするものの、どのようなものかを具体的に解説できる方は多くないでしょう。

この章では、グルコサミンの基本的な情報を掘り下げて解説します。

2-1.  概要・効果

グルコサミンとは、そもそも自然界に存在する化合物で、アミノ糖の一種です。

グルコサミンは、関節軟骨の基礎的成分であるグルコサミノグリカン(GAG)を構成し、関節を構成する主要物質の1つとなっています。

軟骨保護材として人・犬・馬などの関節炎の治療によく使用されています。

また、犬に摂取させる場合には関節炎の緩和の他に以下の場面でも用いられています。

  • 膝蓋骨脱臼による構造的病変による痛みや関節の摩耗の緩和
  • 関節手術後の回復効果

天然成分であるにもかかわらず、グルコサミンにはとても高い効果が期待されます。

なお、グルコサミンはエビやカニなどの甲殻類に多く含まれています。

市販のドッグフードやサプリメントに配合されているグルコサミンもエビやカニの殻から抽出された物が多いです。

2-2.  コンドロイチン硫酸とともに使用される

コンドロイチン硫酸は、軟骨成分の一種で関節の動きをなめらかにする性質をもった物質です。

コンドロイチン硫酸は、古い軟骨の破壊を抑制します。

老化とともにコンドロイチン硫酸の割合が変化することが知られています。

役割がとてもグルコサミンと似ており、合わせて摂取をすると相乗効果が期待されるという理由からよくセットで利用されています。

コンドロイチン硫酸はもともと「軟骨」を意味する言葉が語源です。

実際に、牛・豚・サメなどの軟骨から抽出されています。

2-3.  医薬品ではない

グルコサミンは、治療の現場で広く使用されていますが医薬品ではありません。

あくまで健康補助食品の位置づけであるため、サプリメントや健康食品だけではなく一般的なドッグフードにも広く使用されています。

もしかすると、これまで意識してこなかっただけで愛犬に与えられているドッグフードにもグルコサミンが配合されているかもしれません。

グルコサミンは、それほど犬にとって身近なものです。

3.犬の関節炎にとってグルコサミンへの効果・メリットはあるの?

この章では、グルコサミンの効果やメリットを掘り下げます。

一般のドッグフードに使用されるほど身近なものであっても、本当にメリットがあるのか?という点は別問題です。

また、リスクについても慎重に検討しなくてはなりません。

一つひとつていねいに確認します。

3-1.  関節痛の軽減への効果の期待

関節痛に対する効果については、2021年時点で医学的に明確なエビデンスはありません。

つまり、絶対に効果があると証明されている訳ではありません。

しかし、グルコサミンが関節痛の軽減に役立つことを示唆するデータはいくつかあります。

  • グルコサミンはもともと体内で合成され、関節の痛み軽減の効果を発揮している(食品などで外部からグルコサミンを補うことで、関節痛緩和の働きをサポート。)加齢によって、グルコサミンが合成される分量は減少するため、特に高齢犬については外部からの摂取が必要という考え方。
  • グルコサミンを配合した治療薬を使用した実験で「中程度」の効果。(海外での事例ですが、グルコサミンを使用した治療薬を用いた実験にて「中程度」の改善効果があるとの結果が示唆されました。)

したがって、高齢犬の関節痛予防にも痛みの軽減にもグルコサミンが現状よく用いられています。

3-2.  副作用がない

グルコサミンについての明確な副作用はないとされています。

天然由来と言うこともあり、非常に安全性に信頼のある成分です。

したがって、ドッグフードなどでグルコサミンを与える分には特に分量などを気にすることはないでしょう。

一般的なフードの分量さえ守っていれば大きな問題に発展するリスクは極めて低いです。

3-3.  グルコサミンを愛犬に与える方法

一般的に副作用がないと言われているからといって、グルコサミンを無条件に与えて良いというわけではありません。

非常にまれなケースですが、グルコサミンを多量に摂取して吐き気や体調不良などを引き起こしたという症例があるためです。

また、グルコサミンの有無にかかわらずドッグフードは個体によって適正な分量がそれぞれ異なります。

体質や生活環境が異なるため、摂取が必要とされる栄養素の分量も異なるためです。

結論として最も安全な方法は、かかりつけの獣医師にドッグフードの内容・分量・与え方についての確認をとることです。

特にサプリメントの摂取を検討している飼い主さんは、必ずかかりつけ医に相談した上で判断されることをオススメします。

逆に言えば、確認さえとれればオンラインショップや最寄りのペットショップなどで手軽にグルコサミンを入手できます。

4.グルコサミン摂取以外に愛犬の関節痛緩和のために意識したいこと

愛犬の健康状態を長く維持するためにも、関節痛や関節炎の緩和のためにも、グルコサミンの摂取だけを意識すれば良いわけではありません。

むしろ、グルコサミンの摂取以外の生活習慣や食生活のほうが重要です。

この章では、グルコサミン摂取以外で健康維持のために重要なポイントを解説します。

4-1.  肥満防止

「犬は少し肥満気味の方がペットとして愛くるしい」という考え方もありますが、愛犬の健康を心から考えるなら肥満は絶対に避けるべきです。

肥満は、あらゆる疾病の原因になりうるからです。

そして、肥満は関節炎発症リスクを高める要因にもなります。

肥満によって体重が重くなると、歩いたり身体を動かしたりするたびに大きな負担がかかるためです。

多くの飼い犬が肥満もしくは肥満予備軍である現状からわかるとおり、肥満の対策は決して簡単ではありません。

日頃から、以下の対策を意識する必要があります。

  • 適切な食事量を守る
  • おやつを与えすぎない
  • 適度な運動をする

すでに肥満に悩まされている場合は、ダイエット食に切り替えるなどの特別な対応が必要とされる可能性もあります。

早めに動物病院を受診して、対策を相談することをオススメします。

4-2.  良質なたんぱく質の摂取

関節痛や炎症を防ぐためには、健康の機能を維持することも大切です。

栄養が不足すると、身体の機能維持が難しくなります。

そのためには6大栄養素のすべてが必要とされますが、なかでも大切なのはたんぱく質です。

たんぱく質は、筋肉や臓器の源となる栄養素であり、元気の源です。

また、関節の大部分はコラーゲンでできています。

コラーゲンは、たんぱく質から作られているので健康な関節を作るためにもたんぱく質は必須です。

なお、たんぱく質は量だけではなく質にも意識をしなくてはなりません。

一般的に良質なたんぱく質とされているのはお肉や魚などの動物性たんぱく質です。

動物性たんぱく質は、アミノ酸のバランスがよく体内に吸収されやすいという特徴を持っています。

したがってドッグフードを選ぶ際には、新鮮な肉類・魚類から作られたフードを選ぶように意識しましょう。

良質なたんぱく質を含むドッグフードは、健康にとって効果的であるだけでなく、香りが強いために愛犬が喜んで食べてくれるというメリットもあります。

4-3. グルコサミン以外の栄養素の確認

グルコサミン以外にも、関節炎に効果が期待されている栄養素もあります。

・コンドロイチン

グルコサミンとともにドッグフードや健康食品などによく含まれています。

・EPA

青魚やサーモンなどに多く含まれる栄養素で、オメガ3脂肪酸を多く含んでいます。オメガ3脂肪酸は、良質な脂質として知られている栄養素です。EPAは、グルコサミンやコンドロイチンなどのようにドッグフードや健康食品などに配合されています。

・カルシウム・ビタミンD

健康な関節を作るには、カルシウムも必要です。そしてカルシウム摂取を助けてくれるのがビタミンDです。ビタミンDは日光を浴びることにより体内で生成される栄養素ですが、犬は被毛に覆われていることもあり不足しがちです。特に室内犬はビタミンD不足に陥りがちなので、飼い主さんが摂取を意識しましょう。

以上のように、グルコサミンの他にも関節に良いとされる関節炎・関節痛の予防・改善を対処することが可能です。

5.まとめ

グルコサミンには、関節痛や関節炎を予防したり症状を和らげたりする効果が期待されています。

しかも、確認されているかぎり副作用はほとんどありません。

手軽に摂取でき、安全性が高いことから現在多くのドッグフードや健康補助目的のサプリメントに配合されています。

ただし、医薬品に指定されていないとはいえ摂取量や与え方については獣医師と相談して決定されることをオススメします。

危険性が少ないとはいえ過剰摂取をすると健康リスクが生じることもあるためです。

また、グルコサミンの摂取について考えられるならコンドロイチンやEPAなどの成分や、バランスの良い食生活・生活習慣を意識して総合的に健康な生活を心がけることをオススメします。

愛犬がいつまでも健康で元気に過ごしてもらえるよう、参考にしていただけたら幸いです。

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