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犬の健康にオメガ3脂肪酸はどんな効果をもたらす?

#オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸は、犬にとっても大切な栄養素です。
実際に、オメガ3脂肪酸が配合されているドッグフードやサプリメントは数多く存在します。
オメガ3脂肪酸は人間にとっても健康によいとされている栄養素なので、おぼろげながら「健康的である」とのイメージをもっている方も多いでしょう。
しかし、以下の点を明確に答えられる方は少ないのではないでしょうか?
・オメガ3脂肪酸を摂取することにはどのような効果があるのか?
・オメガ3脂肪酸は、犬にとってもメリットのある栄養素なのか?
この記事では、犬にとってのオメガ3脂肪酸の効果や理想的な与え方について解説いたします。
日頃、ドッグフードの栄養素について特に意識していなかった方も、今回の記事をご覧になることで理解を深めていただけることでしょう。

1.オメガ3脂肪酸とは?

テレビCMや雑誌広告などでしばしば見聞きするオメガ3脂肪酸は、不飽和脂肪酸の一種です。

不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸は構造が異なっており、お肉やバターなどに含まれるのが飽和脂肪酸で、魚や植物油などによく含まれているのが不飽和脂肪酸です。

脂肪についてネガティブなイメージをもっている方は多いかもしれませんが、人や犬などの哺乳類が健康を維持するためには不可欠な栄養素です。

オメガ3脂肪酸の他、オメガ6脂肪酸、オメガ9脂肪酸等、食べもから摂取する必要のある脂肪酸を「必須脂肪酸」と呼んでいます。

なかでも、オメガ3脂肪酸は栄養面で多くの重要な役割をもちます。

犬の場合、オメガ3脂肪酸を摂取することで以下の効果が得られます。

  • 子犬の視力や脳の発達
  • 皮膚や関節の炎症抑制
  • 脳の健康維持
  • 心臓・血管・血液の健康維持
  • 生理機能の調整(新陳代謝・コレステロールのバランス維持)

オメガ3脂肪酸は、犬にとってとても重要な栄養素です。

しかし、犬は自分自身でオメガ3脂肪酸を生成できないため、食事など外部から摂取する必要があります。

その上、ストレスなどの影響で失われがちです。

オメガ3脂肪酸を含め必須脂肪酸は、バランスよく摂取することが大切です。

オメガ3脂肪酸には、DHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)の2種類があります。

犬にオメガ3脂肪酸を摂取させる場合、DHAやEPAを配合されたドッグフードやサプリメントを与えるケースが一般的です。

2.オメガ3脂肪酸が愛犬にもたらす5つのメリット

この章では、オメガ3脂肪酸の役割について具体的に掘り下げてご紹介します。

オメガ3脂肪酸がもたらすメリットを具体的に理解できれば、オメガ3脂肪酸の重要性が鮮明にイメージできます。

ご自身の愛犬のライフステージや成長・健康状態などを思い浮かべながら読んでいただくと、よりメリットをイメージしやすいでしょう。

2-1. 良質なカロリー源

オメガ3脂肪酸は、良質なカロリー源です。

一般的に、摂取したのちにエネルギーとして消費されなかった脂肪は体内に蓄積します。

日本では多くの飼い犬が肥満もしくは肥満予備軍となっており、脂肪を摂取しすぎることはさまざまな健康リスクを招きます。

しかし、オメガ3脂肪酸は代謝されやすい特徴を持っているため、そのほかの脂肪酸と比較すると肥満リスクは小さいです。

さらに、中性脂肪値を下げて、代謝を高める効果があるとも言われています。

つまり、オメガ3脂肪酸は健康にとっての大敵である肥満のリスクが少ないエネルギー源です。

2-2. 子犬の健康をサポート

オメガ3脂肪酸のEPAやDHAは、中枢神経組織や視覚の健全な発達をサポートします。

犬は、およそ1~3歳のころまでに成長期を終えるため、子犬の時期に必要な栄養を摂取することは、愛犬の一生の健康に影響します。

とはいえ、脳の発達が愛犬にとってどのようなメリットをもたらすのかイメージできない方もいらっしゃるでしょう。

具体的に、犬にとって脳の発達はもっている潜在能力を最大限に発揮するために必要であるとされています。

例えば、しつけの内容を理解したり、指示を記憶したりするためには、脳の発達が不可欠です。

また、迷路からの脱出などの犬が自分自身で考えて行動する必要が生じる場面においても、オメガ3脂肪酸を摂取した犬の方が好成績を残したというデータもあります。

2-3. 安全な妊娠をサポート

オメガ3脂肪酸は、妊娠中や授乳中の母犬にとっても重要な栄養素です。

そもそも、ご家庭でペットとして犬を飼育されている方の場合は、不妊手術をされているかもしれません。

それでも、オメガ3脂肪酸の働きを知ることはとても重要なことです。

妊娠中・授乳中の犬にとって、オメガ3脂肪酸は次のように作用します。

  • 神経細胞の細胞膜の構成成分として作用し、胎児の順調な発達と成長を促進する
  • 授乳中に母犬がオメガ3脂肪酸を十分に摂取することで、子犬の皮膚を健康に維持しアレルギーや皮膚炎などの発症リスクが低下する

オメガ3脂肪酸のメリットを知るための参考として、これらの情報についても理解しておきましょう。

2-4. 皮膚炎・関節炎の緩和

オメガ3脂肪酸を摂取することにより、皮膚や関節の健康を維持します。

その結果、皮膚炎や関節炎の症状緩和効果が期待できます。

ご存じのように、犬は皮膚炎や関節炎を発症しやすい動物です。

特に高齢になればなるほどこれらの疾患のリスクは高まります。

実際に、皮膚炎や関節炎などのかゆみ止めや症状改善の薬にオメガ3脂肪酸が配合されていることからも分かるように、その効果は広く知られています。

ただし、即効性のある強い薬というわけではなく、あくまでも長期的に使用した場合に補助的な改善作用があるという位置づけであるため、誤解のないようご注意ください。

2-5. 心臓病や脳の病気の予防

さらにオメガ3脂肪酸には、心臓病や脳の病気の予防や予後の改善効果があることも示唆されています。

その根拠になっているのは、オメガ3脂肪酸を摂取すると血液がサラサラになるという効果です。

人間と同様、犬も慢性的な運動不足・肥満・ストレス・食生活の乱れなどにより、血液がドロドロになります。

その結果、上記のような病気を引き起こすリスクが高まります。

血液サラサラ効果については、人間用の健康食品でもよく同様の効果がうたわれているため、耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか?

3. 愛犬の成長段階別オメガ3脂肪酸の働き

この章では、前章の内容もふまえて、愛犬の成長段階別のオメガ3脂肪酸の働きについて解説します。

・子犬

オメガ3脂肪酸の免疫力アップ効果と成長促進の効果が重要な意味をもちます。病気・感染症・アレルギーからの身体の予防や将来に渡って健康な身体を作るために、積極的なオメガ3脂肪酸の摂取が推奨されます。

・成犬

成犬の場合にも、重要なポイントは成長促進と免疫力のアップです。運動神経の維持・発達やケガの早期治療、加齢によるさまざまな疾病を未然に防ぐために、オメガ3脂肪酸は重要な役割をもちます。

・老犬

老犬は、さまざまな身体的な不調が顕在化します。皮膚炎・関節痛などの症状緩和のためにオメガ3脂肪酸が役立ちます。また、脳の老化や心臓病や動脈硬化などの老化にともなう重病予防のためにも意識的にオメガ3脂肪酸を摂取しましょう。

上記のようにすべてのライフステージにおいてオメガ3脂肪酸は必要とされます。

4. オメガ3脂肪酸を愛犬が摂取する方法

オメガ3脂肪酸は、マグロ・サバ・サーモンなどに含まれている栄養素です。

しかし、愛犬に魚を与えるのは以下の原因から危険性があります。

  • 生魚を与える場合・・・生魚に繁殖している寄生虫による健康上のリスクが生じる、もしくは骨が喉や消化器に詰まるリスクがある
  • 調理済みの魚・・・寄生虫がいなくなるまで調理されている場合であっても、骨がのどや消化器に詰まってしまうリスクがある
  • オメガ3脂肪酸は酸化しやすいデリケートなオイルである

上記をふまえて、安全にオメガ3脂肪酸を摂取できるようにすることが重要です。

4-1. ドッグフード

最も現実的で健康的な手法は、オメガ3脂肪酸を多く含んだドッグフードを与えることです。

ドッグフードは商品ごとにオメガ3脂肪酸の含有量が異なります。

一般的にはDHA・EPAとして表記されていることが多いため、これらが豊富に含まれているドッグフードをチョイスしましょう。

なお、ドッグフードの理想的な栄養素を独自調査して公表しているアメリカの団体「AAFCO」は、オメガ3脂肪酸についての推奨摂取量を公表しています。

その分量とは、以下のとおりです。

・EPA+DHA=0.05%

推奨量が割合で決定されるため、体重や状況によって推奨摂取料が異なる点に注意しましょう。

オメガ3脂肪酸の含まれるドッグフードは、人間には生臭く感じますが、愛犬にはたまらなく食欲をそそる香りです。

偏食気味でフードの食いつきが悪い子や、食欲低下気味のシニア犬にもおすすめです。

4-2. サプリメント

オメガ3脂肪酸を配合したサプリメントもあります。

サプリメントでオメガ3脂肪酸を与える場合の注意点は、非常に高配合な商品が多い点です。

  • 免疫力を高めたい
  • 将来の病気を防ぎたい
  • 老化による不調を防ぎたい

との理由から個人の判断でサプリメントを摂取させると、結果的にはデメリットの方が大きくなってしまう可能性があります。

トラブル防止のために、サプリメントを与えるために必ず事前に獣医師に相談をしてください。

5.愛犬へのオメガ3脂肪酸の適正な分量とは?

前章でご紹介したAAFCO(米国飼料検査官協会)では、オメガ3脂肪酸の推奨摂取量を「0.05%以上」と表記しています。

つまり、下限については記載がありますが上限の記載がありません。

しかし、犬の健康維持のために不可欠な栄養素だからといって、摂取させればさせるほどよいというものではありません。

適正な分量を飼い主さんが理解する必要があります。

この章では、オメガ3脂肪酸の適正な分量を理解するための分量についてご紹介します。

5-1. 過剰摂取に注意

そもそもオメガ3脂肪酸を必要以上に摂取した場合には、どのようなデメリットがあるのかを考えてみましょう。

具体的なデメリットは、次のとおりです。

・嘔吐や下痢

油分を摂りすぎると消化不良による嘔吐や下痢の原因になることがあります。

・肥満

エネルギーとして消費しやすいとはいえ、オメガ3脂肪酸は脂肪であることに変わりありません。摂取が過多になると、肥満を招くリスクがあります。血液が止まりにくくなる

オメガ3脂肪酸の過剰に摂取による害はあまり報告されていませんが、過剰摂取はやはり望ましくありません。

必須脂肪酸をバランスよく摂取することが大切です。

5-2. 適正な分量の目安

オメガ3脂肪酸の適正な分量は、個体によってそれぞれ異なります。

したがって、一概に目安分量をご紹介するのは困難です。

オメガ3脂肪酸の適量を決定する要因の具体例をご紹介することはできます。

  • 体重
  • 食事の内容
  • 代謝
  • 遺伝による体質
  • 体調

現実的にはこれらの項目をすべて数値化して、分量を決定するのはほとんど不可能でしょう。

したがって、基本的にはAAFCOが推奨している0.05%をクリアしたうえで、過剰摂取にならないようにフード・おやつの分量を調整することが重要です。

そして、飼い主さんご自身の勝手な判断でサプリメントを与えないことが大切です。

5-3. 獣医師と相談すること

オメガ3脂肪酸の与え方について、少しでも迷ったり不安を感じたりしたら、気軽にかかりつけの動物病院に相談しましょう。

オメガ3脂肪酸の与え方や分量に限らず、フードの内容・与え方・日常の運動量・遊び方・しつけなど、日常生活のあらゆる点について獣医師に相談することが可能です。

最も大切なことは、オメガ3脂肪酸の与え方や分量ではなく、いかに愛犬の成長をサポートして健康を維持できるかという点です。

そのために、信頼できる動物病院を見つけておくことと、日頃から動物病院の獣医師と積極的にコミュニケーションを取り情報共有をしておきましょう。

6.まとめ

オメガ3脂肪酸は、犬の健康維持や成長にとっても非常に重要な栄養素です。

具体的なメリットは、以下のとおりです。

  • 良質なエネルギー源になる
  • 子犬の脳や目の成長をサポート
  • 免疫アップ
  • 皮膚炎・関節炎の症状改善
  • 病気の予防

オメガ3脂肪酸は多く摂れば摂るほど、効果が得られるものではありません。

それどころかかえって逆効果になることもあります。

大半の総合栄養食にはDHAやEPAとしてオメガ3脂肪酸が配合されているため、特に意識をしなくても市販のドッグフードを与えていれば一定量のオメガ3脂肪酸は与えられるでしょう。

ただし、オメガ3脂肪酸の含有量は個々の商品によって異なります。

また、過剰摂取にも注意しなくてはなりません。

基本的には、オメガ3脂肪酸を配合しているドッグフードを規定の分量与えることが大切です。

しかし、特定の疾患や健康上の不安がある方は、ドッグフードの分量やオメガ3脂肪酸の与え方についてかかりつけの医師に相談するとよいでしょう。

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