飼い方・育て方

愛犬の必要カロリーと消費カロリーはどのくらいがベスト?

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「愛犬の健康維持のための必要カロリーはどのくらい?」
「愛犬の体重が減ってきた(増えてきた)けど、心配はないの?」
などなど、愛犬の必要カロリーや体重の増減について気にしている飼い主さんは少なくありません。
特に、2020年はコロナウイルス禍(コロナ禍)による外出制限もあり、運動量についての制約も生じたので、愛犬の体重増加に悩んでいる方もいると思います。
本記事では、犬の必要カロリーや消費カロリーについて解説します。
記事を読むことで、必要カロリーの概要やごはん・おやつでの栄養摂取のポイントを理解することができますので、是非参考にしてみてください。

1.犬にとっての必要カロリーと摂取カロリーとは

人が太ってしまったり、ダイエットをしたりするときに気になるのがカロリーですが、カロリー摂取量や消費量の影響で太ったり痩せたりしてしまうのは犬も同じです。

この章では、必要カロリーと摂取カロリーの基本的な内容について、簡単に紹介します。

1-1. 必要カロリーとは?

明確な定義が決まっているわけではありませんが、犬が健康に生きていくために必要なカロリーのことを必要カロリーといいます。

必要カロリーは、年齢や犬種などによって異なりますが、おおよその目安は以下の計算式で表すことができます。(この目安は、標準的な運動をしていると仮定した犬が必要なカロリーを体重別に示したものです)

必要カロリー:70×(体重㎏)の0.75乗×係数

※0.75乗の計算方法が難しいかもしれませんが、電卓(もしくはインターネットのGoogle機能で簡単に求めることができます)

一般的な電卓での計算方法:

①:体重(Kg)×体重(Kg)×体重(Kg)

②:①で求めた数に√を2回押す

あるいは「関数電卓」という電卓を用いれば、上記の手順を踏まなくても直接0.75乗を計算することができます。

関数電卓は、建築などの現場で使用されるやや専門性の高い電卓ですが、使いこなせるようになるととても便利です。

①:70*体重(Kg)^0.75を「計算式」に入力

ここで、最後に重要になるのが「係数」の項目です。同じ体重の犬であっても、成長期とシニア期とでは大きく異なります。

また、妊娠中や去勢・避妊手術の有無など、犬の年齢・状態・環境によって必要摂取カロリーも異なります。

最後に係数をかけることで、これらの違いを調整するということです。

(主な係数)

子犬(4か月~1歳):2
授乳中:4
妊娠中(6週目まで):1.8
妊娠中(妊娠後期):3
成犬(去勢・避妊手術なし):1.8
成犬(去勢・避妊手術あり):1.6
成犬(肥満の予防):1.2~1.4

1-2. 摂取カロリーとは?

摂取カロリーとは、犬が一日に摂取する(した)カロリーのことを指します。

摂取カロリーが必要カロリーを大きく上回ってしまうと、カロリーオーバーとなってしまい、肥満や体調不良の原因となってしまうことがあります。

反対に、摂取カロリーが必要カロリーを大きく下回ってしまうと、痩せすぎや栄養不足に繋がってしまうことがあります。

犬にとっての、摂取カロリーは基本的には日ごろのごはんとおやつ・飲み物です。

2.年齢・体重・犬種以外に必要カロリーが変わるポイント

必要カロリーが、年齢や体重・犬種によって異なるのは、比較的イメージしやすいことではないかと思います。

一方で、これらの項目以外にも、必要カロリーに影響する要素がいくつかあります。

この章では、犬の必要カロリーに影響する項目を5点紹介します。

2-1. 運動量

必要カロリーを考える際には、摂取カロリーと合わせて消費カロリーについて考える必要があります。

そして、消費カロリーに対して直接的に大きく影響するのが、運動量です。

1日の内、長時間を外で走りまわって過ごしている犬と、室内でおとなしくしている犬とでは、消費カロリーが大きく異なります。

また、散歩の量も非常に大切です。

以下の表は、ERR(運動時エネルギー要求量)という散歩時のエネルギーの消費量の目安をあらわしたものです。

体重(kg)
1km散歩した際の消費カロリー(kcal)
3
6
4
8
5
9
7
11
10
14
12
16
15
19
20
23
25
26
30
30

例えば、体重5kgの愛犬が1km散歩した場合には、9kcalを消費するということです。

ダイエットをする際や摂取カロリーの調整のために散歩の距離を考えたいときには上記の表を参考にしてください。

2-2. 体格や体質

同じ体重の犬でも骨格や体質の違いによって必要カロリーは異なります。

同じような食事や生活習慣をしていても体重が増えやすい人と、増えにくい人がいるので、人に置き換えて考えるとイメージしやすいと思います。

体格や体質による必要カロリーの違いの特徴は一概には言えないため、体重の増減などを参考に判断すると良いでしょう。

一度かかりつけの獣医さんにご相談してみることもおすすめです。

2-3.  被毛の長さ

被毛の長さも、若干エネルギーの消費量に影響する可能性があります。

寒い日には体温を上げなくてはならないため、消費エネルギーが増える傾向にありますが、被毛が長ければ防寒性が高いため、消費エネルギーを比較的抑えられるためです。

反対に被毛の短い犬種は、熱が奪われやすいため、常に体温が上がるように調整をしなくてはなりません。

2-4. 病気・加齢

病気や加齢によって太りやすくなることも考えられます。

ポイントは、基礎代謝の低下や運動不足を招いてしまうことです。

●基礎代謝の低下を招く主な病気(体重が太りやすくなるケース)

・甲状腺機能低下症
ホルモンの分泌量に異常が生じる病気です。際立った症状がないため、注意深く観察していないと発見しづらいという面がありますが「なんとなく元気がない」「お散歩に行きたがらない」というのが一つの見分け方になります。

・副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
クッシング症候群は、腎臓の横にある副腎からのホルモン(コルチゾール)が異常分泌される病気です。クッシング症状を発症すると、元気がない・脱毛・水をよく飲みたがるなどの症状が見られます。また、これらの症状の他に、加齢によっても基礎代謝は低下します。

●運動不足を招く病気・疾患・加齢(体重が太りやすくなるケース)

膝や関節に炎症を起こしたり、生活習慣病を起こしていたりする場合、痛みや器官への負担の強さから運動不足になってしまうことがあります。また、加齢によって体の器官や関節などに不調が生じている場合も、同様に運動不足を招いてしまうことがあります。病気や疾患の場合にはもちろんですが、加齢が原因となっている場合であっても生活習慣の改善などにより対処できる可能性があります。病気・疾患・加齢などによってこれらの症状があらわれている時には、従来と同じ分量を食べているように見えても必要カロリーを摂取できていない場合があることに注意しましょう。

皮膚病や消化器疾患(カロリーが普段より必要になるケース)

皮膚病や消化器疾患など炎症疾患によってはカロリーの消費が余計に進んでしまうケースもあります。カロリーの補給・栄養補給が普段より必要になります。

2-5. 季節

犬の必要カロリーや摂取カロリーは、季節によっても意識を変えるようにした方が良いでしょう。

季節ごとのポイントは、以下の通りです。

●春
春は、気候・天候が良く、ごはんを食べるにも外で運動をするにも適した季節です。夏に向けて、しっかりと栄養を摂取することを意識しましょう。春のカロリー摂取量が、犬にとってのごはんの分量の「基準」にもなります。

●夏
気温の高い夏、犬は運動量が低下し、消費カロリーが低下する傾向にあります。ごはんの量も減ってしまうことが多いので、栄養不足・夏バテ・熱中症対策に注意しましょう。

※夏バテ・熱中症対策のために飼い主さんが気をつけること

  • 意識的に水分を摂取する(水を飲みたがらない時には、経口補水液を利用したり、動物病院に相談したりするなどの対策を考える)
  • エアコンや保冷グッズを使用して、室内の温度・湿度対策をおこなう

●秋
秋は、春と同様に気温・湿度が安定するので、栄養補給に適した時期です。夏に消費してしまったエネルギーの補給と、冬に向けての準備期間としてしっかりとカロリーを摂取しましょう。

●冬
犬は比較的寒さに強いので、冬の間の運動量はむしろ増加する傾向が見られます。ただし、冬は体温維持のために消費エネルギーが大きくなりやすい傾向があります。外にいる時間が長い犬や温度変化の影響を受けやすい小型犬の場合には、食事の量を増やすとともに、防寒対策もしっかりと意識をしましょう。また、寒がりの犬もいますので、運動不足にならないように気を付けましょう。

 

3.カロリー摂取量が適正かどうかをチェックするためのポイント

基本的な考え方を理解しても、本当にカロリーの摂取量が適正なのかどうかは飼い主さんとして気になるところではないでしょうか?

毎日一緒に過ごしているからこそ、体重のわずかな増減には気が付きにくいこともあります。

この章では、愛犬のカロリー摂取量が適正かどうかをチェックするためのポイントについて解説します。

3-1. 定期的に体重を計測する

体重を数値として把握することも大切です。

体重測定の頻度は、できるだけ多い方が理想的ですが、飼い主さんの生活ペースもあるので、継続することを意識して無理のない頻度で計測しましょう。

体重を計測する際のポイントは、次の通りです。

  • 体重の増減が大きく健康面への影響も考えられる子犬などは、毎日体重を計るなど、計測の頻度を多くする(成犬の場合、少なくとも月に1度は計測するようにする)
  • 体重測定は、できる限り同じ条件で計測する(朝起きてご飯を食べる前など)
  • 体重5kg以下の小型犬は、少しの体重変化が体調に直結する可能性が高いため、50g単位で計測できる体重計を使用する
  • 静止した状態で体重を測定する

3-2. ボディラインをチェックする

肥満の防止や健康状態のチェックのためには、見た目でわかるボディラインのチェックも大切です。

ボディラインをチェックする際に効果的なのは、BCS(ボディ・コンディション・スコア)が参考になります。

理想のスタイルのポイントは、次の3点です。

①肋骨を触ることができる。ただし、目視で肋骨が見えるほど目立っていると痩せすぎ。

②上から見たときに、腰に適度なくびれが見える

③腰の上を触ると、腰骨に触れることができる

BCSは環境省のサイトでもチェックできるので、気になる方はご自身の愛犬の体型とぜひ照らし合わせてください。

参考:環境省「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」

3-3. ごはんやおやつの質・回数をチェック

体重が標準体型の範囲を逸脱しているときや、ボディラインが理想体型でない時には、ごはん・おやつの質や回数についてもチェックしましょう。

ドッグフードやおやつの内容によっては、栄養素の割にカロリーが高いものもあり、結果的にカロリーの過剰摂取を招いてしまうこともあります。

●ごはん
総合栄養食」と記載のあるドッグフードを選べば、水分以外の必要な栄養素の大半を摂取することができます。しかし、ドッグフードによって配合されている栄養が異なるため、原材料表示をチェックして栄養バランスの優れたものやカロリーの過剰摂取にならないものを選ぶことが大切です。特に価格の安いドッグフードは、穀物などでかさましがされており、高カロリー低タンパク(そのほか、ビタミンやミネラルなどの栄養素の数値も低い)という傾向があるので要注意です。

●おやつ
おやつは、1日の必要カロリーの20%以下に抑える必要があります。とはいえ、おやつで摂取するカロリーは必要最小限にとどめておきたいものです。おやつは、ごほうびや飼い主さんと愛犬のコミュニケーションに効果的ですが、おやつをたくさん与えていると偏食になってしまったり、栄養バランスが崩れやすくなってしまったりすることがあるためです。家族と同居をしている際には、飼い主さんが見ていないところで勝手にごはんやおやつを与えないように注意することも大切です。

また、ごはんやおやつの内容・質を管理するとともに、愛犬が出したものをきちんと食べているかどうかも大事なポイントです。

特に多頭飼いの場合には、それぞれの個体によって食べた量が異なっていることがあるため、飼い主さん自身が注意深く観察したり、食事スペースを別々にしたりするなどの対策も必要です。

ごはんの質や頻度を考える際に意識したいのは、用途に応じてドッグフードを選択することです。

例えば、肥満が気になる愛犬の場合は、カロリー制限を意識したドッグフードやダイエット食がおすすめです。

また、夏に暑さのあまり食欲が減退していて熱中症が心配されるときには、水分を多く含んでいるウェットフードを活用して与えるのも良いでしょう。

ここでおすすめのドッグフードをご紹介します。

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4.まとめ

人にとっては、カロリーといえばダイエットの天敵というイメージが強いかもしれませんが、犬にとってのカロリーは肥満や健康維持のバロメーターとしてチェックすべき項目です。

犬にとっての必要カロリーは、体重や年齢・犬種などの他に、運動量・体格(体質)・毛の長さ・病気や加齢・季節などによって異なります。

愛犬が長く健康でいられるよう、飼い主さんは定期的に体重を計測したり、体重の増減に対してこまめなケアをおこなったりすることが大切です。

本記事を参考に、ぜひ愛犬の健康管理に取り組んでみてください。

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