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猫の塩分対策!病気にならないために必要な対策とは?

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猫にとって塩分過多は非常に危険な状態です。
人間にとっても塩分の過剰摂取は問題となっているため想像しやすいことだとは思いますが、塩分の過剰摂取がさまざまな病気やトラブルを引き起こす要因になります。
飼い主さんが注意しておかなくてはならないのは、2点です。
・塩分の必要量が極めて少ないため、過剰摂取の状態に陥りやすいこと
・猫にとって必要最小限の塩分摂取は必要であること
さらに、塩分を過剰に摂取してしまったときにどのようなトラブルが生じるのか?飼い主さんとしてどのような対策を取れるのかについても理解しておかなくてはなりません。
この記事では、猫と塩分と塩分の構成成分であるナトリウムの関係についてわかりやすく解説します。

1.猫にとって塩分が危険な理由

猫にとって、塩分の過剰摂取は危険です。

塩分の構成要素であるナトリウムを過剰摂取すると、猫の内臓に大きな負担がかかるためです。

まず、胃腸に負担がかかり、嘔吐を引き起こす可能性があります。

特に、腎臓と心臓への負担には注意をしなくてはなりません。

腎臓病(腎不全や慢性腎臓病など)や心臓病は、猫にとってとても身近な病気です。

したがって、腎臓や心臓に疾患をもっている猫に対しては、特に塩分の摂取量に注意しましょう。

一方で、猫は人間と比較をすると塩分の排出が上手なので、塩分の摂取量を過剰に意識する必要がないとの考え方もあります。

健康な成猫の場合には、確かに不必要な塩分をうまく体外に排出しているケースが多いです。

ただし、塩分をうまく排出できるという事実を踏まえても、次の事情から塩分の摂取には注意すべきだといえます。

  • そもそも、塩分の必要量が少ないため、多く摂取することのメリットがない
  • 子猫やシニア猫などは排出機能が弱いことも多く、必ずしもうまく排出できるとは限らない
  • 元気な成猫であっても、塩分摂取の蓄積が猫の内臓に大きな負担がかかることがある

人間と同様、あるいはそれ以上に猫にとって塩分は注意するべきものであることを覚えておきましょう。

2.猫の一日の塩分量の目安とは?

猫の塩分摂取量に関して、客観的な指標についてもチェックしておきましょう。

ペットの栄養摂取量に関して、現在最も信用が高いとされているデータの一つが、AAFCO(米国飼料検査官協会)が公表している栄養基準です。

AAFCOの栄養基準は、以下のとおりです。

◆AAFCOによるナトリウムの基準値

子猫用:0.2g以上/100g中

成猫用:0.2g以上/100g中

最低限の摂取量は記載されているものの、上限値は記載されていません。

その理由は前章でご紹介したように、健康な成猫は自分自身でナトリウムを尿として排出できるためです。

上記をふまえ、また安全性の面を客観的に判断した場合、猫の1日の塩分摂取量は2~3g程度になります。

※塩分の許容量は猫の体重に比例するため、目安の値は若干増減するかもしれません。

3.猫の塩分必要量が人間よりも少ない理由

猫の塩分必要量は、人間の塩分必要量と比較をすると少なく設定されています。

そのため、飼い主さんはほとんど塩分摂取の必要性を認識することなく、愛猫に必要とされる塩分を与えられます。

この章では、猫の塩分必要量が人間よりも少ない理由を2つの観点から解説します。

3-1. 塩分摂取の本来の目的

まず、猫にとって塩分はどのような栄養素なのでしょうか。

私たちが一般でいう「塩」「塩分」は、塩素とナトリウムが結びついた「塩化ナトリウム」という化合物であり、塩味を感じるのはこの塩化ナトリウムによるものです。

そもそも、猫にとっての塩分の役割は次のとおりです。

  • 神経や筋肉の情報伝達を促進する
  • 細胞の内と外の浸透圧で水分量を調整して一定に保つ
  • 体内の水分量を保つ

普通にペットとして飼育していて猫の塩分が不足するケースは極めて珍しいことです。

3-2. 必要量が少ない理由

猫の塩分必要量が少ない最大の理由として、あまり体内の塩分を消費しないことがあげられます。

ナトリウムの消費量が少なければ摂取する量も少なくてすみます。

例えば、体温調節をする際に、人間の場合は汗をたくさんかいて身体の体温を逃がそうとします。

猫はそもそも体温調節が苦手です(汗を全くかかないわけではありませんが、肉球と鼻にわずかに汗腺がある程度です)

このように人間ではナトリウム(塩分)の排泄方法として汗がありますが猫は汗をかきません。

さらに、大抵のキャットフードには必要量を十分に満たす程度の塩分が含まれています。

したがって、あえて塩分摂取を意識しなくても、自然と必要な塩分が得られます。

4.塩分過多にならないために飼い主さんが注意すべきこと

愛猫の塩分過多に注意するために、飼い主さんは具体的にどのような点に注意をすればよいのでしょうか。

猫の塩分必要量はごくわずかなので、ちょっとした不注意や意識の欠如で簡単に塩分の必要量を大幅に上回ってしまうことがあります。

腎臓や心臓を悪くしてしまうと、対処はさらに大変になります。

この章では、飼い主さんが意識すべき3つのポイントをご紹介します。

4-1. 塩分含有量の多いキャットフードを避ける

特別な事情がない限りは、塩分含有量の多いキャットフードは避けましょう。

市販のキャットフードの塩分含有量は、商品によりそれぞれ異なります。

パッケージの原材料表示をチェックすれば、塩分の含有量が確認できるので、原材料表示を見てから商品を購入してください。

塩分を摂取すべき特別な事情とは、例えば膀胱炎を患っている場合などです。

膀胱炎の療法食のなかには、水をたくさん飲ませる必要があるため、塩分の含有量を増やして喉を乾きやすくしているものがあります。

膀胱炎の他にも水分を多く摂取する必要がある際には、あえて塩分が多く含まれていることがあります。

ただし、これらのフードを選ぶか否かは、獣医師の指示に従っておこなってください。

原則としては、複数のキャットフードを比較して塩分含有量の多いキャットフードを避けましょう。

4-2. 人間の食事を与えない

人間の食事は、基本的に猫にとっては塩分過多になります。

上述のように、人間にとっての塩分必要量と猫にとっての塩分必要量は大きく異なるためです。

例えば、かつてはごはんにお味噌汁をかけて猫用の食事として与えるご家庭が多かったのですが、お味噌汁の塩分量は猫の塩分必要量を大きく上回っています。

また、ウインナー・ベーコン・チーズなどの加工品は、猫にとって塩分過多になりやすいです。

これらの食材は極力与えないようにしてください。

どうしても与えたい場合には、猫用に作られたチーズやおやつに置き換えましょう。

4-3.おやつの内容と与えすぎに注意

日頃の食事と同程度に注意しなくてはならないのがおやつの内容と分量です。

一般的におやつは栄養バランスよりも嗜好性が重視されたものが多いため、塩分含有量をはじめとした栄養バランスに注意して選ぶ必要があります。

  • 猫用のチューブ型のおやつ・煮干し(特に頭部)などは、どれも塩分が多く含まれています。したがって、おやつを与える際には、以下の点に注意する必要があります。
  • 塩分が少ないものに置き換えできないか検討する(例えば、猫用の煮干しや減塩のおやつなど)
  • おやつの与える量を最小限に抑える

「ご褒美」として、おやつはつい多めに与えたくなるものですが、少量与えるだけでもすぐに塩分摂取量が多くなります。

5.愛猫の塩分摂取が気になるときの対策

愛猫の塩分対策についての具体策で悩んでいる方も多いのではないでしょうか?

また、猫の場合は塩分を一度に大量に口にした場合には、命に関わるトラブルを招くこともあります。

この章では、塩分を過剰摂取してしまっている場合の対策について、基本的な考え方をご紹介します。

5-1. 塩分の誤飲対策

猫が塩の塊を謝って飲み込んでしまったときには、体内の塩分濃度が急激に上昇して体調に異変が生じることがあります。

運が悪ければ、塩分過剰摂取のために命を落としてしまうこともあります。

この場合の基本的な対処法は2つあります。

  • 早急に動物病院を受診すること
  • 水分を与え、体内の塩分濃度を下げること

塩分を飲み込んでしまったときの対策として、さらに塩分の塊を飲み込ませて吐き出させるというものもありますが、その方法は非常に危険です。

追加で与えた塩分によって死亡を招くこともあるため、絶対にその対策は取らないでください。

5-2. 慢性的に気になる場合

腎臓を悪くしている猫やシニア猫の場合は、日頃の生活習慣から塩分を摂取しすぎないように意識する必要があります。

前章までにご紹介したように、以下の点を意識してください。

  • 塩分量の少ないキャットフードを選ぶ
  • おやつの内容と量を意識する
  • お水をしっかり飲む

また、病状や愛猫の体質によっては、療養食の摂取が必要とされるケースもあります。

いずれにせよ、何らかの疾患が生じているケースなどでは特に専門家である獣医師にアドバイスを求め、指示に従って対処することが非常に効果的です。

動物病院では、普段の食事や生活習慣についての指示が得られるだけではなく、ときにはサプリメントの助言などがおこなわれることもあります。

※サプリメントの摂取は、獣医師のアドバイスの元におこなってください。

6.塩分の多いごはんを欲しがる場合の対処法

飼い主さんが注意をしていても、愛猫が積極的に塩分含有量の多いごはんを欲しがることもあります。

愛猫が何度も鳴いて催促をしていると、健康にとってよくないことを認識していても、つい与えてしまいたくなるものです。

この章では、塩分の多いごはんを愛猫が欲しがる際の対処法を解説します。

6-1. 塩分控えめのごはんでよく食べるものを重視する

普段のごはん(キャットフード)を満腹になるまでしっかり食べることで、ほかの(塩分含有量の多い)キャットフードやおやつを欲しがらないようにしましょう。

このとき大切なポイントは、普段の食事として与えるキャットフードの栄養バランスと嗜好性です。

日本国内で販売されているキャットフードは嗜好性の高いものが多いですが、それでも猫の食べムラが激しいという話を多く耳にします。

食いつきのよいキャットフードを与えるために大切なことは、次の点です。

  • お肉や魚などの良質なたんぱく質を主原料としている
  • 安全かつ適切に管理されており、商品状態が劣化していない
  • 食べやすい大きさである(飲み込みやすい小さな粒)

一般的に、キャットフードの栄養バランスを意識する際には、栄養バランスが重視されるあまり嗜好性が軽視されることがあります。

しかし、無理なく健康的な食事を続けるためにも、愛猫がストレスをため込まないようにするためにも、栄養バランスと嗜好性の両方を同時に意識しましょう。

6-2. おねだりされても無視をする

煮干しやウインナーなどを愛猫がしきりにおねだりするケースはとてもよくあることです。

猫は嗅覚が非常に優れているため、飼い主さんが料理をしている際やご自身の食事を取っているときにもにおいを嗅ぎづけておねだりしてくることがあります。

あるいは、しまっておいた食材を見つけて食べたいと要求することもあるでしょう。

基本的に、これらの要求に対しては無視するようにしましょう。特に人間用の食事に関しては、猫にとってかなりの塩分量になります。

おねだりの要求がすごく強いときには、ごく少量を与えたり、あるいはご自身の食事のメニューを考えたりして愛猫の嗅覚を刺激しないようにするなどの対策をとりましょう。

6-3. 届く箇所に食べ物を置かない

行動範囲に嗜好性の強い食べ物があると、猫は自ら食べ物に近づいて催促をします。

密閉できる空間に食べ物を片付けるなどの工夫をして、猫が自分で食べ物を見つけてしまわないように工夫しましょう。

高いところに食べ物を置くことも効果的です。

7.まとめ

猫にとって、塩分は注意すべき栄養素です。

猫にとっての塩分必要量は1日あたり2~3g程度で、特に何も意識しなくとも普段の食事から十分に摂取できます。

一方で、過剰摂取の場合は、腎臓や心臓に負担をかけてしまうことになります。

健康な成猫の場合、塩分を過剰摂取したとしても排出できるケースもありますが、シニア犬や内臓に病気をもっている猫の場合には病状が重症化することもあります。

注意すべきポイントはいくつかありますが、最も重要なポイントは普段の食事です。塩分含有量が少なく、嗜好性の高いフードを十分に与えましょう。

また、困ったことやわからないことがあるときは、獣医師に相談をして専門的なアドバイスを受けてください。

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