猫にはプレミアムフードがベスト?選び方と注目すべきポイントを解説

猫用のプレミアムフードについて耳にされたことはありますか?
「プレミアム」という言葉の響きから、とても高級感のある素晴らしいフードを思い浮かべられる方も多いのではないかと思います。
実際、プレミアムフードは健康的で安全性の高いキャットフードである可能性が高いです。
ただし、プレミアムフードだからといって全面的に安心できるわけではありません。
この記事では、ペットフードの専門メーカーとして半世紀以上の歴史をもつ「日本ペットフード株式会社」が、プレミアムフードの概要・メリット・注意点を解説いたします。
愛猫にとって本当によいキャットフードの選び方についてもご案内しておりますので、健康によいキャットフードを探されている飼い主さんはぜひ参考にしてください。
1.猫のプレミアムフードとは?
プレミアムフードとは、原材料や製造工程を徹底管理して作られたキャットフードのことです。
具体的には、人工的な保存料や酸化防止剤などはほとんど使用せず、人間が食べられる程度の高品質な原材料を使って作られたフードとされています。
プレミアムフードに多くみられる特徴の具体例は以下のとおりです。
- 良質なお肉や魚を原材料として作られている
- 原材料の種類を絞っている(食物アレルギーの発症リスクを抑え、仮にアレルギーであったとしても原因を特定しやすくするため)
- 穀物を使用していない、あるいは使用を最小限に抑えている
- 原材料について使用量や産地など、細かく記載している
なお、プレミアムフードには一定の基準が設けられているわけではありません。
したがって、パッケージに「プレミアムフード」と書かれていれば、プレミアムフードです。
日本国内のペットフードは、「ペットフード安全法」の基準を満たすことが必須条件ですが、ペットフード安全法の基準自体はそれほど厳しい要件ではありません。
なお、プレミアムフード以外のキャットフードに関しても、商品によってその品質はさまざまです。
「安さ」をセールスポイントにしているキャットフードなどは特に、安全性が保障されていない人工的な添加物が多く含まれていたり、猫にとって消化が難しい炭水化物が原材料のメインとして用いられていたりする、といった傾向があります。
2.猫にとってプレミアムフードが重要な理由
プレミアムフードが注目されているのは、言葉の雰囲気や印象によるところも多いですが、必要とされるだけの需要があるからでもあります。
この章では、猫用のプレミアムフードがどのような観点から必要とされているのかを、2つの側面からご紹介します。
2-1. 栄養素
一つ目のポイントは、猫にとって必要な栄養素を満たすためです。
優れた環境で飼育されるようになった結果、飼い猫は従来にくらべて長生きするようになりました。
だからこそ、健康な食生活に配慮をして、病気をしないための体作りをすることが求められるようになっています。
猫にとって必要な栄養素は、以下のとおりです。
- たんぱく質
- 炭水化物
- 脂肪
- ミネラル
- ビタミン
※たんぱく質の原材料となるのがアミノ酸ですが、例えばタウリンは猫が体内で生成できないため積極的に与えるべきだとされています。
また、必要な栄養バランスは、年齢・体重・体の状態などによって異なります。
2-2. 安全性
長期的な健康を考えた場合には、安全性も重要です。
安全性を考えるうえで大切なことは、以下の2点です。
- 発がん性や疾病を招くリスクのある危険な添加物が含まれていないこと
- フードが適切に管理されていること(流通や保管の最中に、フードが劣化したり腐敗したりしないこと)
これらの安全性を確かめるには、飼い主さんにある程度の知識が必要です。
例えば、危険性があるといわれる原材料には、BHT・BHA・エトキシキン・没食子酸プロピルなどがあります。
通常、キャットフードの安全性を確認する場合、原材料表示をチェックしてこれらの望ましくない化学物質が含まれているか否かを確認しなくてはなりません。
主なペットフード会社では安全性が確認されたものが使われています。
また、メーカーが商品をどのように保管・流通しているのかを直接調べる方法はないため、メーカーのホームページの情報などから間接的に信頼できるメーカーであるか否かのチェックをする必要があります。
3.メリットだけじゃない!プレミアムフードの注意点
「プレミアムフード」は、前章でご紹介した栄養面や安全性の面が優れている、とメーカーが自負しているフードです。
パッケージにプレミアムフードと書かれたフードを選ぶだけでこれらの2点がクリアになるのであれば、飼い主さんにとってはとても心強く感じられるのではないでしょうか?
とはいえ、プレミアムフードだからといって必ずしも安心できるわけではないのが実情です。
この章では、プレミアムフードを選ぶ際の3つの注意点を解説します。
3-1. 無添加は健康にいい?
プレミアムフードの中には、無添加をうたっている商品もあります。
無添加というと、いかにも健康的だというイメージを抱くものですが、必ずしも無添加のものが優れているとは限りません。
その根拠は、以下の3点です。
・必要な添加物もある
多くのキャットフードには、ビタミン・ミネラル・アミノ酸(タウリンなど)の猫の健康維持のために不可欠な栄養素が、添加物として配合されています。これらは危険性がほとんどなく、猫の健康維持のためにむしろ配合されるべき添加物です。
・賞味期限の問題
保存料などの添加物を配合しないことにより、賞味期限が短くなったりフードが酸化して劣化しやすくなったりします。フードの油脂などが酸化すると、猫の健康を害する危険性があり、むしろ健康にとって悪影響を及ぼします。
・「何が」無添加なのか?
ペットフードに関する法律においては、何が無添加なのかを特に明記しなくても「無添加」と記載することができます。例えば、香料は無添加だが着色料は配合されている、というキャットフードでも「無添加」とうたうことが可能です。
したがって、何が無添加なのか明記されていない場合、無添加であることに特に大きな意味がありません。
3-2. グレインフリーは健康的?
キャットフードのプレミアムフードの中には、グレインフリーの商品もあります。
グレインフリーとは、小麦粉やトウモロコシなどの穀物を含まないフードのことです。
一般的に、グレインフリーはすべての猫にとって良いものだと考えられがちですが、そもそもグレインフリーの主な目的は穀物アレルギー対策です。
確かに穀物は猫にとって消化しづらい成分ですが、穀物のなかには猫にとって必要な炭水化物や脂肪も含まれています。
また、穀物を使用せずに肉や魚の割合が高まることで、たんぱく質の割合が多くなりすぎたり、高価格になったりするなどのデメリットもあります。
したがって、グレインフリーだからといってすべての猫にとって健康的だというわけではありません。
3-3. 明確な基準がない
最大のポイントが、プレミアムフードには明確な基準が設けられていない点です。
したがって、プレミアムフードとはいっても品質や価格帯はさまざまです。
飼い主さんとしては、プレミアムフードであるか否かよりもフードが本当によいものかどうかを見極める目が必要とされます。
もちろん、高品質のプレミアムフードもありますが、同時に価格に見合わない品質のプレミアムフードもあります。
「プレミアムフード」を過信しないようにしましょう。
4.プレミアムフードよりも愛猫の健康にとって重要なポイント
プレミアムフードを過信せず、あくまで「参考程度」にとどめる場合、ますます何を基準にキャットフードを選べばよいのかわからなくなるという方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
この章では、本当によいキャットフードの選び方を4点解説します。
4-1. 栄養のバランス
プレミアムフードであるか否かにかかわらず、健康のために必ず必要とされるのは栄養バランスです。
必ずパッケージの原材料表示をチェックしましょう。
前提条件として、キャットフードは「総合栄養食」を選んでください。
総合栄養食とは、猫にとって必要な栄養素の大半を含んでいるフードです。
必要な栄養素は、年齢や体の状態によっても変化するため、状況にあったフードを選ぶことも大切です。
4-2. 食いつき
食いつきの悪いフードの場合、食事の量が減って栄養が不足してしまう可能性があります。
せっかくフードを与えてもあまり喜んでくれないのは、飼い主さんにとっても喜びが感じられないことでしょう。
猫は警戒心の強い動物なので、新しいフードに食いつかないことは珍しくありません。
食いつきがよいフードがなかなか見つからず、困っている方は以下のポイントを参考にしてください。
・香りを重視する
お肉や魚などのニオイが強いフードに猫は惹きつけられます
・子猫のときに食べていたフードを好む
猫は、子猫の頃に食べていたものを原材料に使ったフードを好む傾向があります
・栄養バランスの取れたフードを好む
猫は本能的に、栄養バランスの優れたフードを好みます
4-3. 価格
価格面では、以下の2点を意識してください。
・ムリなく続けられる価格帯であること
フードの変更はスムーズにいかないこともあるため、できる限り同じフードを長く続けるべきです。飼い主さんが負担に感じる価格帯のフードは、最初から避けた方がよいでしょう。
・安すぎるキャットフードには注意すること
価格の安価キャットフードは、コストカットのために原材料の大半が穀物であったり、適切な保管がされていなかったりします。
飼い主さんご自身の経済状況に合致し、信頼できる品質であることを両立できるフードを選びましょう。
4-4. フード・おやつの量
「適量」であることも重要な要素です。
飼い猫の肥満が問題視されることが増えてきましたが、その原因の多くはカロリーの過剰摂取です。
キャットフードに記載されている1日の目安量を守りましょう。
また、特に注意すべき点はおやつの与え方です。
おやつの許容量は1日の摂取カロリーの20%以下です。
おやつを与えたときには、おやつ分のカロリーをごはんからマイナスして1日の摂取カロリーを調整してください。
5.「プレミアムフード」の他に参考になる基準・数値はないの?
原材料表示を見て必要な栄養素をチェックするときには、基準となる数値が欲しいという飼い主さんもいらっしゃると思います。
この章では、参考となる基準を3点ご案内いたします。
5-1. AAFCO
アメリカに本部をもつAAFCO(全米飼料検査官協会)は、ペットフードの安全性や栄養基準などのガイドラインを設定している団体です。
AAFCOが発表している、猫用のドライフードの主な栄養基準は以下のとおりです。
| 子猫(成長期) | 成猫 |
たんぱく質 | 30.0% | 26.0% |
脂肪 | 9.0% | 9.0% |
カルシウム | 1.0% | 0.6% |
カリウム | 0.6% | 0.6% |
リン | 0.8% | 0.5% |
ビタミンE | 40IU/kg | 40IU/kg |
特にたんぱく質の含有量などは、パッケージに記載のあるキャットフードが多いため、照らし合わせながら購入するとよいでしょう。
5-2. FEDIAF
FEDIAF(欧州ペットフード工業連合会)とは、ヨーロッパのペットフード関連機関が集まって構成している、ペットフードに関するガイドラインを作成している機構です。
FEDIAFのガイドラインによると、キャットフード(ドライフード)100gあたりの主な栄養素の推奨量(最低限接種すべき量)は、以下のとおりです。
| 子猫(成長期) | 成猫 |
たんぱく質 | 28g | 25g |
脂肪 | 9.0% | 9.0% |
カルシウム | 1.0g | 0.4g |
カリウム | 0.6g | 0.6g |
リン | 0.84g | 0.24g |
ビタミンE | 3.8IU | 3.8IU |
細かな部分で数値の違いはあるものの、おおむねAAFCOの基準値に近い数値が発表されています。
5-3. 環境省のガイドライン
環境省は「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」にて、以下の基準値を公表しています。
必要な栄養素:たんぱく質26.0%、脂質9.0%
体重5.0kgの猫の塩分摂取量:0.33g
AAFCOのデータをもとに、簡易的にまとめられた内容となっています。
6.まとめ
プレミアムフードとは、栄養面と安全面において優れたキャットフードを指す用語です。
キャットフードを選ぶうえで栄養面と安全面はどちらもとても重要な要素であるため、プレミアムフードを選ぶことはとても大きな意義があります。
ただし、プレミアムフードには明確な定義がないため、現状はメーカーが独自の基準で「プレミアムフード」をうたえるようになっています。
したがって、飼い主さんとしては栄養素・価格面・添加物などの観点から冷静にキャットフードを選ぶ視点が必要とされます。
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