食事

猫に卵を与えてもいい?メリット・デメリット・調理方法を解説

#卵 #タマゴ #猫に卵

「猫に卵を与えても大丈夫?」
猫の飼い主様のなかには、卵を与えるべきか否かを悩まれている方もいらっしゃいます。
特に「毎日キャットフードではなくて、たまには他のものを与えたい」と考える飼い主様のなかに、豊富なたんぱく質の源である卵に注目される方が多いように見受けられます。
この記事では、ペットフード業界で60年以上の実績をもつ日本ペットフード株式会社が、猫に卵を与えることの是非について解説します。
また、卵を与えるメリット・デメリットや適切な与え方についても解説していますので、飼い猫の栄養について深い関心をお持ちの方は、ぜひ参考にしてください。

1. 猫に卵を与えてもいい?

猫に卵を与えるのは、悪いことではありません。

猫は本来、肉食動物であり、人間の食べものすべてを食べられるわけではありませんが、卵に関しては食べ過ぎに気をつければむしろ栄養価の高い食材です。

実際、野生の猫は、おなかの中に卵のある鳥などを食べることもあります。

たんぱく質を豊富に含んでいる卵は、猫の好物といえるかもしれません。

ただし、適量に注意することは必要です。

良いものだからといって与えすぎてしまうと、さまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。

子猫に関しては、さらに慎重に対応しなくてはなりません。

子猫も成猫と同じように卵を与えることは可能ですが、食べられる量は成猫よりもずっと少ないためです。

重要なことは、飼い主さんが猫と卵についての正しい知識を持ち、獣医師などの専門家に相談をしたうえで、ご自身の愛猫に卵を与えることです。

猫に卵を与えるメリット・適量・与え方・レシピなどを、飼い主さんは理解する必要があります。

2. 猫が卵から得られるメリット

猫に卵を与えるメリットは、卵に含まれる豊富な栄養素を摂取できることです。

この章では、卵を与えることで、猫が摂取できる栄養素とメリットを解説します。

2-1.  たんぱく質を摂取できる

猫にとって、たんぱく質は最も重要な栄養素のひとつです。

肉食動物の猫は、人間や犬などの雑食動物よりも、多くのたんぱく質を必要とします。

猫にとって、たんぱく質は以下の働きをもちます。

  • 身体の成長
  • 筋肉や臓器など身体の機能の維持
  • 健康的な被毛や爪などの維持

卵のなかでも、特に白身は脂肪が少なく、猫にとって理想的な栄養素です。

反対に、黄身は脂肪が多すぎるため、あまり与えるべきではありません。

2-2.  脂肪を摂取できる

脂肪は、猫にとっての三大栄養素のひとつです。

一般的に飼い猫の場合、肥満傾向のある猫のほうが多いため、「脂肪=悪」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、脂肪不足はエネルギー不足に直結します。

普段キャットフードを適量与えている場合、卵で脂肪を補う必要がないケースが大半ですが、食が細いなど状況によっては、卵の脂肪分が役立つかもしれません。

黄身は脂肪分が豊富なため、肥満のリスクがかなり高くなります。

腎臓や膵臓など臓器への影響もあるため、かかりつけの動物病院に相談のうえ判断しましょう。

2-3.  アミノ酸を摂取できる

卵は、猫が必要とするアミノ酸も多く含んでいます。

アミノ酸は、たんぱく質の原材料となるだけでなく、身体の機能を整えるなどの働きをもちます。

特に、猫が体内で生成できない必須アミノ酸は、食品から摂取するしかありません。

肉や卵などは、穀物や野菜と比べてアミノ酸スコアが優れていることも、大きなポイントです。

全部で20種類あるアミノ酸は、アミノ酸スコアによって吸収量が変わります。

つまり、卵を食べることで、効率よくアミノ酸を摂取できるといえます。

〇主な食材のアミノ酸スコア

  • 肉類(牛肉・鶏肉・豚肉・馬肉):100
  • 魚類(アジ・カツオ・イワシ):100
  • 卵:100
  • 牛乳:100
  • ジャガイモ:73
  • 白米:65
  • トマト:51
  • ごま:50

3. 猫に卵を与えるデメリット

卵は、猫にとってデメリットをもたらすこともあります。

デメリットを意識せず、むやみに愛猫へ卵を与えると、病気や体調不良を引き起こすリスクにもつながりかねません。

この章では、3つの観点から猫に卵を与えるデメリットを解説します。

3-1.  細菌感染のリスク

猫に生卵を与える最大のリスクが、細菌感染です。

日本人は日常的に生卵を食べる習慣があるため、やや意識が弱くなりがちですが、生の卵にはさまざまな細菌が発生するリスクがあります。

生卵を食べることにより、細菌に感染するとひどい体調不良を引き起こすこともあるため、要注意です。

生卵に含まれる可能性がある細菌の代表例は、サルモネラ菌です。

サルモネラ菌に感染すると、嘔吐・下痢・発熱などの消化器系疾患を引き起こします。

過去にはサルモネラ菌によるペットの死亡例や、飼い主に感染した例なども報告されており、非常に危険性の高い細菌です。

細菌は、約70℃以上になると死滅するため、猫に卵を与える際には加熱調理するように徹底しましょう。

3-2.  ビオチン欠乏症のリスク

猫に生の卵を与え続けると、ビオチン欠乏症を招くリスクがあります。

「ビオチン」とは、ビタミンB群の水溶性ビタミンであり、欠乏症になると以下の症状を引き起こします。

  • 皮膚や毛質が悪くなる
  • 神経系の異常が生じる
  • 皮膚炎が発生しやすくなる

生命に直結する症状ではないものの、生活のクオリティの大きな低下を招く可能性があります。

ビオチン欠乏症を引き起こす原因は、生の卵白に含まれる「アビジン」という物質です。

アビジンはビオチンの摂取を阻害するため、継続的に生の卵を摂取していると、ビオチンの不足につながります。

なお、卵を加熱するか、あるいはビオチンを豊富に含む黄身を一緒に与えることで、アビジン不足対策が可能です。

4. 卵に含まれる栄養素

卵には、猫の体調を整えるために重要な栄養素も、豊富に含まれています。

生命の機能維持や成長に直結する、たんぱく質・脂肪・アミノ酸と同様、非常に重要な点なのでチェックしておきましょう。

4-1.  ビタミン類

卵には、以下のビタミン類が含まれています。

ビタミンは、生命の機能維持に欠かせない栄養素で、それぞれ猫の健康にとっても大きな意味を持ちます。

  • ビタミンA・・・被毛・皮膚・神経系・心臓の健康を良好な状態に保つ働き
  • ビタミンB12・・・血液内の赤血球や抗体の生成に関与
  • ビタミンB2(リボフラビン)・・・体内の炭水化物を健康的な代謝に関与
  • ビタミンB1(チアミン)・・・神経機能の維持
  • ビタミンD・・・健康な骨づくりをサポート
  • ビタミンE・・・抗酸化物質・免疫としての働き

上記のように、健康維持のためにさまざまな役割を担っているビタミンを、卵から摂取できます。

4-2.  ミネラル

卵は、ミネラル(亜鉛・鉄)を含んでいます。

  • 亜鉛・・・被毛や皮膚を良い状態に保つ働き/生殖系機能の健康維持
  • 鉄・・欠乏症になると、貧血のリスク

亜鉛や鉄も、猫の健康維持には欠かせない栄養素です。

4-3.  タウリン

タウリンは、猫が体内で生成できないため、食事から摂取しなくてはなりません。

環境省が発行している「飼い主のためのペットフード・ガイドライン」に記載があることからも分かるように、非常に重要な栄養素です。

猫がタウリン欠乏症になると、以下の疾患を引き起こすリスクがあります。

  • 網膜萎縮(最終的には失明のリスク)
  • 心臓疾患
  • 目の障害

タウリンは、魚介類や動物の内臓などに多く含まれています。

大半のキャットフードに配合されているほど、猫にとって重要な栄養素です。

5. 猫への卵の与え方

猫に卵を食べさせるときには、適切な与え方があります。

与え方を誤ると、メリットよりもデメリットが大きくなり、愛猫の健康を損なう恐れがあります。

この章では、猫に卵を与える際の分量・調理方法・レシピをご紹介します。

5-1.  分量について

平均的な体格の猫が必要とするエネルギー摂取量は、およそ150~200kcalだとされています。

卵は、猫にとって「ごはん」というよりも栄養を補助するための「おやつ」としての位置づけになるため、全体のエネルギー摂取量の10%以下に抑えるのが望ましいでしょう。

つまり、猫にとって卵の適量は、15kcal=大さじ1杯程度です。

おそらくイメージされていたよりもはるかに少量ではないかと思いますが、健康維持のためには与えすぎないように注意しましょう。

5-2.  加熱・調理方法について

基本的に、猫には加熱をした卵を与えるべきです。

生卵を与えると、細菌感染やビオチン欠乏症のリスクにつながるためです。

また、味付けに関しても注意しなくてはなりません。

人間用の食事としては、塩・スパイス・ソースなどの添加物を使って調理することが多いですが、これをそのまま猫に与えると、健康を損なうリスクにつながります。

特に猫は腎臓の機能があまり強くないため、塩分が大敵です。

塩分を加えることで食欲が増すこともないため、人間用の食事を与えるのではなく、猫用に調理するようにしましょう。

さらに、猫の食事で注意しなければならないのは、火を通す前に白身と黄身をかき混ぜないようにすることです。

先にかき混ぜてしまうと、ビオチンの吸収を阻害するアビジンが卵に残ってしまうため、火を通してもビオチン欠乏症対策になりません。

5-3.  オススメレシピ

猫に卵を与える際のオススメレシピは、ゆで卵と目玉焼きです。

これらのメニューであれば白身と黄身を混ぜないため、効率よくたんぱく質などの栄養素を摂取できる白身だけを、愛猫に与えられます。

火を入れる前にかき混ぜないため、ビオチン欠乏症対策も問題ありません。

・ゆで卵

沸騰したお湯で12分前後火を通し、できあがったら白身だけを15g程度与えます。

少し時間をおいて冷ますことも大切です。

・目玉焼き

塩やこしょうを加えずに、目玉焼きを作ります。

ゆで卵と同様、白身の部分のみを与えた方が良いでしょう。

調理方法自体はとてもシンプルなので、気軽に作れるのではないでしょうか。

6. バランスの取れたペットフードを与えることが大切

愛猫の健康面を考える際、理想的なフードの与え方は、栄養バランスの整ったペットフードを適量与えることです。

総合栄養食のキャットフードのなかには、たんぱく質・脂質・ビタミンなど、猫にとって必要な栄養素がバランスよく含まれています。

実際、ペットフードさえきちんと食べられていれば、栄養面はほぼすべてカバーできているはずです。

当然、ペットフードにより、含まれる栄養価や栄養バランスは異なります。

猫にとって望ましいとされるフードは、たんぱく質が豊富に含まれた商品です。

猫は、良質なたんぱく質の匂いや栄養バランスに食欲を喚起されると言われるため、猫の健康や成長に良い効果をもたらすフードほど、食いつきもよくなる傾向が見られます。

例えば、日本ペットフード株式会社の「ビューティープロ キャット」は、たんぱく質・脂質を豊富に含んだキャットフードです。

おすすめのキャットフードはこちら

「ビューティープロ キャット」シリーズ

●優れた栄養バランスで健康を維持し、免疫力を保つ。
●室内猫の健康維持にGABA配合。
●食べやすいハート型粒。
●着色料無添加。
●獣医師監修。
●総合栄養食。

詳しく見る

良質な肉を豊富に含んでいる他、野菜や穀物なども配合されており、ビタミンなども効率よく摂取できます。

さまざまな事情から、飼い猫に対して卵を与えたいと考えている方は、まず動物病院の獣医師に確認されることをオススメします。

獣医師の指示に従って対応をすれば、卵の料理を与えても大きなトラブルは発生しづらいでしょう。

7. まとめ

卵は、猫の健康にとって良い食品のひとつです。

特に、卵白に関しては、「炭水化物を摂取することなくたんぱく質を補える」というポジティブな面があります。

ただし、ネガティブな要因もあります。

特に加熱をしていない卵に関しては、「細菌への感染症リスク」や「ビオチン欠乏症による健康被害のリスク」があるため、慎重な対応が必要です。

また、キャットフードには基本的に、猫が必要とするほぼ全ての栄養素が含まれています。

どうしても心配な方や、卵を与えてたんぱく質を補充したい方は、獣医師に相談しましょう。

#卵 #タマゴ #猫に卵
ページ
TOPへ