トマトを猫に与えてもいいの?猫にトマトを与えるメリットとは?
#トマト猫を飼っている方にとっても、猫が好んでトマトを食べているイメージはあまりないかもしれません。
もちろん、魚や鶏肉のように大半の猫が好んで食べるものではありませんが、トマトを好んで食べようとする猫は少なくありません。
では、トマトを与えることは猫の健康にとってどのような効果があるのでしょうか?
そもそも肉食動物の猫にトマトを与えることは、問題ないことなのでしょうか?
この記事では、猫にトマトを与えることのメリット・デメリット・与え方などを解説します。
愛猫の健康に関心の高い飼い主さんは、ぜひ参考にしてください。
1. 猫はトマトを食べても大丈夫?
トマトは、猫にとってメリット・デメリットの両面があります。
与え方によっては、栄養摂取に効果的ですが、反対に与え方を間違えてしまうと健康を害してしまう可能性もあります。
また、トマトを煮詰めたソースやミニトマトに関しても、通常のトマトと変わらず適量であれば与えても問題ありません。
重要なことは、トマトにどのようなメリット・デメリットがあるのかを理解し、適切な与え方や注意点を理解することです。
2. 猫にとってのトマトのメリット
最初にチェックすべきポイントは、猫にトマトを与えることのメリットです。
メリットは、大きく分けて3点あります。
愛猫がトマトを欲しがるからなんとなく与えているという方も、メリットを理解することでトマトを与える意義を感じられるのではないかと思います。
2-1. 栄養素が豊富
トマトの栄養価の高さはとてもよく知られていますが、猫にとっても有益な栄養素が豊富に含まれています。
特に重要な栄養素は、以下のとおりです。
- リコピン・・・抗酸化作用と肥満抑制効果。(抗酸化作用は活性酸素の働きを抑える作用があり、猫にとっては老化防止や内蔵の機能を健康に保つ力があります。)
- ビタミンC・・・リコピンと同様、抗酸化作用があります。また、皮膚の機能を維持するためにも効果的です。(ウイルスや細菌などを退治する役割も果たすため、健康の維持には必須の栄養素です。)
- ビタミンE・・・抗酸化作用があります。(ビタミンEもビタミンCと同様に、健康維持のためには欠かせない栄養素です。)
- カリウム・・・ナトリウム排出効果・利尿作用・夏バテに効果的。(猫は、腎臓機能が弱いため、ナトリウムが体内に多く蓄積すると腎臓に負担がかかります。結果的に腎不全などのトラブルにつながることもあるため、カリウムの摂取はとても効果的です。)
- β-カロテン・・・抗がん作用あり。
また、視力にも影響しており、明るい箇所から暗い箇所へ移動したときの目の順応などにも関わります。
これらの栄養価をふんだんに含んでいるトマトは、猫の身体機能の維持にとても有用な食材です。
なお、トマトを与えていない方にとっては「これらの栄養素が不足してしまうのでは?」との不安が感じられるかもしれません。
しかし、総合栄養食のキャットフードであれば、フードのみで栄養バランスがしっかり整えられるように調整されています。
そのため、必ずしもトマトを食べなくてはならないということはありません。
2-2. 水分が豊富
旬のトマトには、水分量が94%含まれています。
猫は砂漠でかつて生活していたこともあり、そもそも多くの水分を必要とするわけではありません。(平均的な体重5kg程度の猫が必要とする水分量は1日に500cc程度です)
しかし、必要量が少ないからといって水分の必要性が低いというわけではありません。
個体によっては水を飲みたがらないこともあり、特に夏場には水分不足になりがちです。
もし、水は飲みたがらないものの、トマトを好んで食べる猫の場合は、水分摂取の一つの方法としてもオススメです。
2-3. 食物繊維によって体調を整えられる
トマトには、水溶性と不溶性の食物繊維も豊富に含まれています。食物繊維は、体内に吸収されないため栄養分にはなりません。
しかし、その代わり整腸作用があり、身体の調子を整える役割を果たします。
短期的には下痢や便秘の改善、長期的には肥満・糖尿病などのリスク低下・免疫アップなどの作用を期待できます。
「腸活」が人間において重視されるのと同様、猫にとっても腸内環境を整えることはとても大切です。
3. 猫にとってのトマトのデメリット
この章では、猫にとってのトマトのデメリットもご紹介します。
大きなデメリットは2つあります。
また、デメリットとは異なりますが、酸味を苦手とする猫が多いのでそもそもトマトを食べたがらない場合もあります。
そのようなときに、無理に食べさせる必要がないということも前提として押さえておきましょう。
3-1. 有毒成分トマチンが含まれている
トマトには、猫にとって有毒成分のトマチンが含まれています。
トマチンには、血液を溶かす作用や神経をマヒさせる作用があります。したがって、大量にトマトを与えるのは危険です。
具体的なデメリットとしては、嘔吐や下痢などの中毒症状が生じます。
トマチンは、完熟したトマトの実には少ないですが、茎・葉・ヘタに多く含まれます。
家庭菜園でミニトマトを栽培していて、見ていないすきに茎・葉・ヘタを食べていたということがないように注意しましょう。
3-2. トマトアレルギーをもつ猫もいる
割合としては多くありませんが、トマトアレルギーをもつ猫もいます。
もし、トマトアレルギーが発症したとしても、それほどはっきりとしたアレルギー症状が現れる可能性は低いでしょう。
トマトアレルギーのサインとして生じうるのは、以下の症状です。
- 吐き気
- 嘔吐(おうと)
- 下痢
- 身体の震え
- 皮膚炎(赤み・脱毛)
これらの症状が現れたときには、ただちにトマトを与えるのをストップし、かかりつけの動物病院に相談してください。
4. 猫にトマトを与えるときに気をつけること
猫にトマトを与える際、ポイントさえ注意をすればメリットが大きくなります。
この章では、トマトを与える際に注意すべきことを3点ご紹介します。
4-1. 完熟した実を与える
トマトを与える場合は、必ず完熟したトマトを与えるようにしましょう。
完熟のトマトは、猫にとって以下の3つのメリットがあります。
- 有毒物質であるトマチンの含有量が少ないため、安全性が高い
- 完熟することで、酸味が弱くなるため猫にとって食べやすい味になる
- よりみずみずしくなり、水分を多く摂取できる
これらのメリットが得られるため、トマトは必ず完熟のものを用意しましょう。
4-2. 少量ずつ与える
猫にとってのトマトの適量は、以下のとおりです。
- 大きなトマト・・・16分の1程度
- ミニトマト・・・4分の1程度
そして、必ず食べやすい大きさにカットして与えましょう。軽くつぶして、チキンなどのソースにしても良いでしょう。
また、トマトはあくまでも補助的なフードです。基本的な栄養はキャットフードから摂取するように意識して、トマトは数日に1回程度の頻度に抑えてください。
4-3. 好き嫌いに配慮する
猫の味覚は個体差が大きいため、すべての猫がトマトを好むとは限りません。
トマトの栄養素や食物繊維は確かに魅力的ですが、トマト自体が絶対に与えなくてはならないものではありません。したがって、愛猫の嗜好・好みを最優先しましょう。
5. 猫にトマトを与える方法
猫にトマトを与えるときには、正しい与え方を知ることも重要です。
与え方を誤ると、愛猫が全く食いつかなかったり、デメリットが大きくなったりしてしまうためです。
必ず押さえておきたいポイントは4点あります。
5-1. ヘタを取る
猫にトマトを与える際には、ヘタをキレイに取ってから与えましょう。なぜなら、ヘタには有毒物質であるトマチンが数多く含まれているためです。
一般社団法人日本植物生理学会のホームページによると、トマト1kgあたりのトマチンの含有量は以下のように記載されています。
部位 | トマチン含有量(1kgあたり) |
完熟した実 | 0.4mg |
熟した青い果実 | 48mg |
熟していない果実 | 465mg |
茎 | 896mg |
葉 | 975mg |
このように、トマトの葉や茎には果実よりもはるかに多くのトマチンが含まれています。
したがって、たとえ少量であってもトマトのヘタは避けるべきです。
また、熟していないトマトや青い実にも葉や茎ほどではないものの、トマチンが多く含まれていることがわかります。
5-2. 加工品はNG
トマトケチャップ・市販のトマトジュース・味付けされたトマトスープなどは、猫にとって望ましくない添加物やスパイスが多く含まれています。
トマトの加工品に含まれる添加物は、以下のとおりです。
- トマトケチャップ・・・糖類・醸造酢・食塩・たまねぎ・香辛料
- トマトジュース・・・商品によっては保存料など
- 味付けのトマトソース・・・たまねぎ・大豆油・砂糖・食塩・ワイン・にんにく・香辛料
これらの中で、特に注意すべき成分は以下のものです。
- たまねぎ・・・猫にとっては、有毒。命に関わるリスクあり
- ブドウ・・・猫にとっては有毒。命に関わるリスクあり
- 食塩・・・腎臓に負担がかかり、腎不全などのリスク
- にんにく・・・猫にとって有害な中毒成分が含まれているため、NG
- 香辛料・・・アレルギーや同性反応を引き起こすものあり
- 添加物・・・健康にとって害が生じるリスク。原材料が不明瞭な場合は避けた方が良い
- 油・・・カロリーが多いため、肥満リスクにつながりやすい。原材料が不明瞭な場合は避けた方が良い
- 酢・・・健康上の大きなデメリットはないものの、猫は酸っぱい味を嫌う
このように、トマトを主原料とする調味料や食べ物には、数多くのデメリットがあります。
また、猫の味覚は人間と異なり、塩分や甘味などを「おいしい」と感じるわけではないようです。
したがって、人間用に味付けられた食べ物を与えるメリットはほとんどありません。
5-3. 新鮮なトマトを選ぶ
猫に取っては熟したトマトを与えることが条件ですが、古くすぎるトマトもまた望ましくありません。
買ってから日が長いトマトには、白カビなどが生じている可能性があるためです。
また、猫が苦手とする酸っぱいにおいがするようになるため、トマト好きな猫にとっても避けたい食材となるでしょう。
トマチンの含有量の問題から、熟していないトマトを与えることも大きな問題ですが、古くなったトマトを与えるのも避けるべきです。
美味しくて栄養のあるトマトを与えられるよう、飼い主さんが意識しましょう。
5-4. トマトのレシピ
トマトを猫に与えるときのレシピは、大きく分けて2つあります。
・生のトマトを食べやすい大きさにカットして与える
トマトの味を好む猫に対しては、生のトマトをそのまま与えると良いでしょう。分量や食べやすさに注意しながら、シンプルな形で与えてください。
・お肉や魚のフードにソースとして使用
煮詰めたトマトを、ソースのようにしてお肉や魚にかけてください。こちらも、塩や砂糖などで味付けをせずに、そのまま煮詰めるのみでOKです。
上記のように、トマトはシンプルに与えるのが鉄則です。
6. まとめ
猫の味覚は、個体差が大きいため、個体によってそれぞれ異なります。
トマトは、好き嫌いが別れる食材ではあるものの、もし愛猫がトマトを好む場合は無理にストップすることはありません。
そもそも、トマトはキャットフードに含まれることもある食材です。
ただし、トマトのデメリットについては十分に注意しなくてはなりません。
トマトのデメリットとは、有毒成分であるトマチンが含まれていることと、アレルギーをもつ猫にとってはトマト摂取が有毒であることです。
特に、完熟した実以外については、トマチンの含有量が多いため、十分に注意してください。
また、トマトの適量を守りながら与えていれば通常は問題ありませんが、愛猫の体調が悪いときにはトマトを与えない方が良いでしょう。
基本的には、栄養バランスのすぐれたキャットフードで体を整えつつ、トマトもうまく活用してください。
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