猫の熱中症対策6つ!症状・後遺症・応急処置・原因など完全網羅
#熱中症「猫も熱中症になるって本当?」
「猫の熱中症はどんな症状?」
「愛猫を熱中症から守る方法を知りたい!」
このような疑問を抱いている方は多いでしょう。
熱中症は人間だけでなく、猫も発症するリスクがあるため、飼い主さんは熱中症について知っておかなければなりません。
そこで今回は、以下の内容について解説します。
・猫の熱中症の死亡率
・熱中症の初期・中期・末期症状
・熱中症による後遺症のリスク
・熱中症になった時の応急処置3STEP
・猫が熱中症になる6つの原因
・6つの熱中症対策
猫の熱中症について理解し、適切な対策をしましょう。
1. 猫は熱中症に注意!死亡率はどれくらい?
猫の熱中症による死亡率は36〜46%と言われています。
熱中症は重症化すると、動物病院で治療しても助からないことのある危険な病気です。
猫の熱中症に関する知識を身につけ、日頃から熱中症対策に気を配りましょう。
また、熱中症になった場合は、応急処置が愛猫の生死を分けます。
飼い主さんは適切な応急処置についても理解しておきましょう。
2. 猫の熱中症はどんな症状が出る?初期・中期・末期症状
愛猫が熱中症になった場合、できるだけ早く体調の変化に気づいて処置する必要があります。
猫の熱中症の症状について知っておきましょう。
猫の熱中症の初期・中期・末期症状を解説します。
2-1. 猫の熱中症の初期症状
猫が体温調節のために、舌を出してハアハアと呼吸することをパンティングと呼びます。
子猫は激しく運動した後にパンティングする場合がありますが、一般的に成猫はパンティングしません。
猫は鼻で呼吸する動物なので、パンティングができません。また、体温調節があまり得意ではありません。
なので、猫の熱中症は気付かないうちに進行し、命にかかわることもある恐ろしい症状です。
成猫がハアハアと口呼吸していたら、熱中症をはじめとした病気を疑いましょう。
体温が39度以上あれば、熱中症の可能性が高いといえます。
猫の熱中症の初期症状としては、口呼吸の他「食欲低下」「心拍数の増加」「落ち着きがない」などが挙げられます。
見た目でわかる症状としては、「よだれを垂らしている」「目や口の粘膜が赤くなる」などがあります。
少しでも様子がおかしいと思ったら、重症化する前に素早く対応しましょう。
2-2. 猫の熱中症の中期症状
猫の熱中症は中期症状になると、体温が40度まで上がります。
猫の体温は人間の体温計でも計れますが、正確な体温を知りたい場合は、直腸温(肛門)で計るようにしましょう。
体温計をラップで包み、ワセリンを塗って潤滑させ、肛門から2.5㎝のところまで差し込みます。
また、体温上昇の他、嘔吐・下痢・筋肉の震えなどの症状が表れるのも中期症状の特徴です。
きちんと歩けなくなったり、脱力したりする場合もあります。
中期症状が見られたら、手遅れにならないよう迅速な対応が必要です。
2-3. 猫の熱中症の末期症状
猫の熱中症が末期症状になると、体温が41度まで上がり、意識が混濁し始めます。
呼びかけにあまり反応しなくなったら、末期症状だと理解しましょう。
失神や痙攣発作などが表れ、危険な状態になる場合もあります。
酸素を上手く取り込めなくなると、舌や唇が青紫色になるチアノーゼが見られるでしょう。
場合によっては吐血・血便・血尿などが表れることもあります。
3. 猫の熱中症による後遺症のリスク
猫の熱中症は、重症化すると後遺症のリスクがあります。
臓器がダメージを受けた場合は、腎臓障害になることがあり、多飲多尿や尿が出ないなどの症状が表れるでしょう。
酸欠状態になった場合は脳障害が残り、心臓に負荷がかかった場合は心不全になることもあります。
猫の熱中症は、ダメージを受けた箇所によりさまざまな後遺症になるリスクがあるといえるでしょう。
4. 猫が熱中症になったときの応急処置3STEP
もしも愛猫が熱中症になった場合は、早急に動物病院を受診する必要がありますが、飼い主さんによる応急処置も大切です。
動物病院を受診するまでにするべきことを知っておきましょう。
猫が熱中症になったときの応急処置を3STEPで解説します。
4-1. 保冷剤で体温を下げる
愛猫に熱中症の症状が見られたら、保冷剤をあてて体温を下げましょう。
太い血管が通っている首・脇・四肢の付け根を冷やせば、効率よく体温を下げられます。
ただし熱中症になると体温調節機能が鈍くなるので、はじめは体温が上昇し、ある時急に体温が下がりすぎてしまうことがあります。定期的に体温を確認し、冷やしすぎないように注意しましょう。
保冷材は直接ではなく、タオルでくるみ体にあてることが大切です。
保冷剤がない場合は、氷を入れた袋や冷やしたタオルを使うと良いでしょう。
4-2. 濡れタオルで体を冷やす
体温を素早く下げるためには、体全体を冷やさなければなりません。
犬の場合は直接水をかけて体を冷やしますが、猫は水が苦手なため、濡れタオルで体をくるみましょう。
猫に突然水をかけると、ショックを受けることがあります。
水が苦手でない場合は、霧吹きで体を濡らすのもひとつの方法でしょう。
濡れタオルで体をくるむか、霧吹きで水を吹きかけた後、うちわや扇風機などで風をあてると、さらに体温が下がりやすくなります。
4-3. 慎重に水を飲ませる
熱中症は脱水症状を伴うため、愛猫が水を飲めそうな場合は、ゆっくりと水分補給をさせましょう。
口元に水滴を与えると、飲み始める場合があります。
意識がない場合は、窒息するリスクもあるため、無理やり水を飲ませるのは禁物です。
水を飲めない状態の猫は、動物病院で点滴をしてもらう必要があります。
5. 猫が熱中症になる6つの原因とは
愛猫が熱中症になるのを防ぐために、まず熱中症になる原因を知っておく必要があります。
原因を知った上で、愛猫の熱中症対策に努めましょう。
猫が熱中症になる6つの原因を解説します。
5-1. 暑い日差しと地面からの輻射熱
熱中症は「暑い日差しに長時間さらされて発症する」というイメージを持っている方が多いでしょう。
猫も人間と同じく、暑い日差しにより熱中症を引き起こすことがあります。
ただし人間とは異なり、猫は地面との距離が近く、太陽に温められた地面からの輻射熱も受けやすくなっています。
猫が真夏に外を歩けば、暑い日差しと地面からの輻射熱で、上からも下からも熱を受けることになるでしょう。
真夏の放し飼いは、愛猫が外で熱中症を引き起こす原因になります。
5-2. 高温多湿で閉め切った空間
気温が30℃を超えると熱中症の危険が高まります。
また、30℃以下であっても湿度が高いと熱中症になる場合があります。
このように高温多湿な環境になると、日差しのない室内でも熱中症になるリスクがでてきます。
湿度の高い空間では、体温を下げる気化が起きにくく、熱中症のリスクが高まります。
部屋を閉め切って、愛猫にお留守番させる場合は、エアコンをつけた状態で出かけましょう。
また、車やクレートのような密閉空間は、高温多湿な環境になりやすいといえます。
少しの時間であっても、愛猫を車やクレートに放置するのは避けましょう。
5-3. 過度な運動による体温上昇
過度な運動をすると体温が上がり、熱中症を引き起こしやすくなります。
特に気温や湿度が高いときに運動すると熱中症のリスクが高まるでしょう。
とはいえ猫は暑いときには動こうとしないため、基本的には心配いりません。
ただし、放し飼いの場合は、家に帰ってくるために無理して歩くことがあるため、注意が必要です。
5-4. 冬のこたつによる体温上昇
熱中症は夏のイメージがありますが、猫は冬にもこたつで熱中症になるリスクがあります。
こたつの中は脱水症状を起こしたり、酸欠状態になったりしやすい場所です。
猫がこたつに入ってきた場合は、電源を切るか、こまめに猫を外に出して対応しましょう。
こたつの出入口に物を置いたことで、猫がこたつの中に閉じ込められてしまい、死に至る事故も発生しています。
こたつの周囲に物を置かないよう注意しましょう。
5-5. 飲み水の不足が招く脱水症状
脱水症状にならないように、十分な水分補給ができるよう、新鮮な水が飲めるようにしておきます。
猫がこぼしたりすることもあるので、倒れにくくたくさんの水が入るボウルに入れて数か所に設置します。
脱水症状は体温が上がりっぱなしになることにつながるため、熱中症を引き起こしやすくする原因だといえるでしょう。
留守にする場合は、水が十分あるか確認してから出かけましょう。
飲み水の不足が招く脱水症状に気を付けなければなりません。
5-6. 熱中症になりやすい体質
猫の種類や体質により、熱中症になるリスクの高さが異なるため、以下に熱中症になりやすい猫種や体質を整理します。
- 呼吸による体温調節が苦手な鼻ぺちゃの短頭種
- 熱のこもりやすい長毛種
- 日光の熱を吸収しやすい黒色の毛をもつ猫
- 体温調節が上手にできない子猫やシニア猫
- 療養中あるいは呼吸器系や循環器系の持病をもつ猫
- 皮下脂肪が多く、体温の下がりにくい肥満の猫
愛猫がいずれかに当てはまる場合は、熱中症になりやすいと考え、しっかりと対策しましょう。
6. 猫の熱中症を予防したい!6つの熱中症対策とは?
愛猫に長生きしてもらうためには、熱中症を予防することが大切です。
猫は言葉で訴えられないため、飼い主さんが快適な環境を整えてあげる必要があるでしょう。
愛猫を守るための6つの熱中症対策を解説します。
6-1. 室内飼いに切り替える
放し飼いだと外で熱中症になるリスクが高いため、熱中症を予防するためには、室内飼いに切り替えるのが効果的です。
愛猫が目の届く場所にいれば、熱中症になっても早急に対応できるでしょう。
キャットタワーなどを設置し、室内でも運動できる環境を整えれば、運動不足も解消できるはずです。
また、室内飼いに切り替えると、交通事故や感染症のリスクがなくなるというメリットもあり、長生きにつながります。
発情期に外に出かけたがるストレスを軽減するためにも、去勢手術・避妊手術を行うことを検討してみましょう。
6-2. ブラッシングで冬毛を取り除く
日ごろからブラッシングをして愛猫の冬毛を取り除いておくと、通気性がよくなります。
無駄な被毛を除いてスッキリさせ、熱を逃がしやすくしましょう。
短毛種は1週間に2~3回、長毛種は毎日ブラッシングするのが理想です。
ちなみに長毛種はサロンでサマーカットをしてもらうのも熱中症対策になります。
通気性がよくなるのはもちろん、猫も涼しく過ごせるでしょう。
6-3. エアコンと扇風機を併用する
エアコンを猫の適温である27~28度に設定し、室温を調整しましょう。
湿度が高い日は、エアコンの除湿機能を利用すれば、熱中症の原因となる多湿な環境を改善できます。
ちなみに猫は毛に覆われているため、扇風機の風をあてても涼しく感じません。
あくまでも扇風機は空気を循環させるために利用しましょう。
猫は日向ぼっこを好むため、日光にあたる窓際にいることが多いのが特徴です。
日光のあたる場所にいても熱中症にならないよう、室温を整えましょう。
6-4. 涼しい場所を確保する
猫は自分で涼しいお気に入りの場所を探します。猫が好きな場所、良く過ごしている場所を涼しくしておきます。
エアコンが苦手な猫もいるため、エアコンがなくても涼しい場所にも行けるようにしておくと良いでしょう。
猫がいつでも行き来できるようにできればドアを開放しておきます。
お風呂場などは溺れるリスクがあるため、浴槽に水は貯めないようにすることが大切です。
ドアを開放して、風呂場や他の部屋へ行き来できるようにする場合は、愛猫が閉じ込められないよう、ドアストッパーを使いましょう。
エアコンのない部屋は遮光カーテンなどを設置して、涼しくなるよう工夫することが大切です。
6-5. 飲み水を常に用意しておく
飲み水を常に用意し、愛猫の脱水を防ぐことは、熱中症のリスク低減につながります。
飲み水がなくなっていないかこまめにチェックし、新鮮な水を用意しましょう。
お水の設置場所を増やすのも、熱中症対策として効果的です。
お水の設置場所は、2ヵ所以上置いていくと安心です。
猫の水分補給方法について知りたい場合は、こちらの記事が参考になります。
6-6. ひんやりグッズを設置する
愛猫の体温が上がりすぎないようにするために、エアコンの他に大理石マットやアルミシートなどのひんやりグッズを活用するという方法があります。
春と夏の変わり目など、エアコンをつけるほど気温が高くない時期は、ひんやりグッズを設置して、愛猫が必要なときだけ使えるようにすると良いでしょう。
また、電気を使わないひんやりグッズは、落雷などで突然停電し、エアコンが停止した際の熱中症対策にもなります。
エアコンだけに頼るのではなく、ひんやりグッズも用意しておくことが大切です。
7. まとめ
猫の熱中症は、後遺症のリスクがあるだけでなく、最悪の場合は死に至る可能性もある恐ろしい病気です。
飼い主さんが日ごろから気を付けていれば熱中症は防ぐことができます。
今回ご紹介した6つの熱中症対策をまとめると、以下のとおりです。
- 室内飼いに切り替える
- ブラッシングで冬毛を取り除く
- エアコンと扇風機を併用する
- 涼しい場所を確保する
- 飲み水を常に用意しておく
- ひんやりグッズを設置する
適切な熱中症対策をして愛猫の健康を守りましょう。
少しでも気になることがあれば、ためらわずすぐに獣医師に相談ください。
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