飼い方・育て方

猫の複数飼育に必要な準備・失敗しないためのポイント

#猫の複数飼育 #猫の多頭飼い

「猫の複数飼育をするにはどうすればいいの?」
「猫の複数飼育をする際にはどんなことに気を付ければいいの?」
「猫の複数飼育をする際には、どのようにごはんを与えたらいいの?」
猫を飼っている方の中には、複数飼育にチャレンジしたいという方も少なくありません。
猫同士が仲良くじゃれ合っている姿や一緒にごはんを食べている様子は、単独飼育では味わえない可愛らしさがあります。
同時に、複数飼育ならではの難しさがあるのも事実です。
この記事では、猫の複数飼育のための知識や注意点、ごはんの与え方について解説します。

1.猫の複数飼育をする前に知っておきたい知識

猫の複数飼育をする際には、慎重な判断が必要です。なぜなら、複数飼育を始めたものの世話がしきれなくなったり、トラブルが生じてしまったりすると、飼い主さん一人だけの問題ではなくなってしまうこともあるためです。

結果的に、近隣の方々に迷惑がかかってしまったり、飼い主としての責任が果たせなくなったりする場合もあります。

この章では、飼い主さんが猫を飼育する際に押さえておきたいルールについて解説します。

1-1. 部屋数の問題|1Kは複数飼育に向いていない⁉

猫には縄張り意識があるため、猫がストレスなく生活するためには十分な部屋数を用意する必要があります。

猫が快適に生活できる部屋数の目安は、「自由に出入りできる部屋数-1」を猫の飼育数の上限とすることです。

従って、2匹の猫を飼うためには、少なくとも部屋数が3部屋必要であるということになります。

自由に出入りできないと猫がくつろげる環境にはならないため、部屋数にはカウントできません。

例えば、貴重品を管理していて猫が出入りできないように普段は施錠をしている部屋やパントリー・トイレの個室などは、猫の飼育部屋には含まないことを把握しておきましょう。

逆に、部屋の数から猫を飼育できる数を逆算することができます。例えば、1Kの賃貸の部屋では、2頭以上飼育するのは難しいというのが一般的な考え方です。

1-2. 費用の問題

猫を飼育する際には、費用の問題についても意識しておきましょう。

猫の飼育数が2匹、3匹と増えると、食費・医療費・日用品費用(トイレ用品・ベッド・ケージ・おもちゃなど)にかかる費用も比例して増えます。

食費はまとめ買いにより、日用品は可能なものを共用にすることで、ある程度費用を軽減することが可能ですが、それでも限度があります。

また、医療費はほとんど軽減する手段がないため、単純に2倍・3倍の費用がかかることが多いです。

特に猫は、病気の予防のためにワクチン接種やノミ予防薬などがかかります。

飼い主さん自身の経済的な余裕がどの程度あるのかを、中期的・長期的な視野をもって検討しましょう。

猫の平均的な寿命は15年前後あるため、責任を途中で放棄することがないように、あらかじめ考えることが大切です。

1-3. 災害時の避難の問題

災害時の避難方法を確保しておくことは、とても大切なことです。

例えば、大地震などの際にはペットを連れ出して自宅から避難をしなくてはならない場面も想定されます。

避難の際には1頭ずつ個別にキャリーバックやケージに入れて連れ出さなくてはならないため、ペットを避難させるための人数や手段が十分に確保できているかをチェックする必要があります。

キャリーバックは複数でも避難可能なリュックタイプやバギータイプを選ぶとよいでしょう。

日ごろから防災グッズも飼育頭数分の用意が必要です。

避難した時には、猫はナーバスになっており食欲不振になるケースが考えられますので、いつもの食べ慣れたフードと好みの消化に良いフードやおやつを用意しておきましょう。

1-4.  新しい猫・先住猫の健康状態の確認

猫の複数飼育をする際には、新しい猫と先住猫の健康状態のチェックが必要です。

なぜなら、新しい猫と先住猫のどちらかが病気(感染症)やノミやおなかの虫をもっていると、双方の猫にうつってしまうためです。

万が一、検査の結果新しい猫と先住猫に病気(感染症)やノミやおなかの虫が見つかったときには、猫同士の生活空間を別々にしなくてはなりません。

あるいは、先住猫の状態が回復するのを待ってから新しい猫を招き入れるなど、病気(感染症)やノミやおなかの虫がうつらないように工夫をする必要があります。

1-5. 繁殖の問題

猫は繁殖力が高いため、オス×メスの複数飼育の場合は避妊去勢手術が必須です。

環境省が発表している「もっと飼いたい?犬や猫の複数飼育を始めるために」によると、1頭の猫が1年後には20頭、2年後には80頭、3年後には2,000頭以上にもなるリスクがあると記載されています。

メスは6~12ヵ月で子猫を出産するようになります。

猫は、1年に2~4回・1回あたりの出産で4~8頭の猫を出産するため、対策をしないときの繁殖による増え方は爆発的です。

オスは、縄張り争いや繁殖行動で逃亡する危険があるためケガ(ケンカ・交通事故)や感染症に注意しなければなりません。

責任をもって猫を飼育するためには、繁殖のコントロールが不可欠です。

2.猫の複数飼育において先住猫との相性で気を付けること

猫の複数飼育においては、猫同士の相性も重要です。

先住猫と後から招き入れる猫との相性が悪いとストレス要因にもなり、頻繁にケンカをすると飼い主さんにとっての苦労も増えます。

また、猫同士の相性が悪い時には、できる対処がほとんどない場合もあります。

よくある事例が、元々複数飼育をしていた飼い主さんが1頭の猫が亡くなったタイミングで別の新たな猫を招き入れるパターンです。

このとき、前の猫とは良好な関係性を築いていても、新しい猫との相性が悪く、ケンカばかりするようになってしまい、飼い主さんがびっくりされることがあります。

はじめのうちは、先住猫と離しておき、慣れるまで気長に待ちましょう。

時間はかかりますが、自分の居心地の良いところ見つけ徐々に慣れてくるでしょう。

2-1. 性別:成猫のオス同士は縄張り意識も

猫は、縄張り意識の強い動物です。特に、去勢をしていないオスの成猫は、縄張り意識が強いため、トラブルが生じやすくなります。

縄張り意識がぶつかると、スプレー行為・マウンティング・ケンカなどの問題行動が生じ、飼い主さんにとっては苦労が絶えなくなってしまいます。

特に、去勢をしていないオス同士は、激しいトラブルになりやすい傾向があります。

従って、オスの成猫同士を飼う時には、去勢手術を済ませ飼育をすればこれらのリスクは軽減されます。

先住猫が成猫の場合、年齢差は生じてしまいますが新しく招き入れる猫は子猫を選ぶ方がトラブルは生じにくい傾向にあります。

2-2. 年齢:子猫同士が理想

猫の複数飼育をする際には、子猫同士が理想です。

子猫は縄張り意識が低いため、猫同士のトラブルが起こりにくいという傾向があります。

また、子猫同士ではない場合であっても年齢の近い猫同士が一般的には飼育がしやすいです。

なぜなら、年齢が近いとごはんの内容も近いためです。

子猫同士や年齢の近い猫同士であれば絶対にトラブルが起きないというわけではありませんが、なるべくリスクを低くするために猫の年齢も意識しましょう。

2-3. 性格:個体差を重視

3点目に押さえておきたいのが、性格の個体差を意識することです。

性格の相性は、実際に猫同士を会わせてみないと分かりませんが、次の対策をとることができます。

  • トライアル期間が設けられている場合、トライアル期間を利用して猫同士の相性をチェックする
  • 何度も新しく招き入れる猫と触れて、どんな性格か見極める

相性が悪い時にはどれだけ時間をかけて仲良くさせようとしても効果がない場合があるため、飼う前に様子をチェックすることでリスクを軽減することができます。

3.猫の複数飼育のときに具体的に気を付けるポイント

猫の複数飼育をする際には、猫を単独で飼うとき以上に配慮が必要です。

十分な配慮をすることで、猫同士のストレスが小さくなり、飼い主さんとの関係性・信頼関係も良好になります。この章では意識すべき3つのポイントを紹介します。

3-1. 先住猫への配慮を重視する

猫の複数飼育をする際には、先住猫に十分配慮することが重要です。

なぜなら、後からやってきた猫よりも先住猫の方が環境変化を感じ、大きなストレスを感じてしまいやすいためです。

ストレスを感じている際に、飼い主さんの愛情が新しくやってきた方の猫に注がれていると感じた場合、先住猫はより大きなストレスを感じる可能性があります。

猫は、強いストレスを感じてしまうと、元気がなくなったり落ち着きがなくなったりすることがあります。

例えば、一緒に遊ぶときやごはんを与えるときなどは、先住猫を優先するようにすることで、先住猫への配慮を示すことができます。

また、先住猫が新しい猫のにおいに徐々に慣れることも大切です。

例えば、トイレの砂を少しずつ交換するなど、それぞれの猫のにおいがついたものを交換し、なおかつ安全であることを分からせてあげることにより、警戒心を解くことができます。

3-2. ベッド・ケージの準備

猫の複数飼育をする際には、ベッド・ケージなどは一頭ずつ個別に用意するのが基本です。

猫は、自分自身の落ち着く空間が必要であるため、お気に入りのベッドやケージがあるとリラックスできます。

猫それぞれお気に入りの場所は違うため数か所にベッドやゲージを用意することをおすすめします。

猫は、ふかふかした柔らかい毛布やクッションが大好きで、それらが慣れ親しんだものになれば、居場所が変わった時にもリラックスさせることができます。

ベッドは、段ボールや空き箱でも問題ありません。

また、緊急時などに速やかに避難できるようにするためにも、1頭ずつケージを用意しておきましょう。

猫の複数飼育は、単独飼育よりも猫にとってストレスがかかりやすい状況であることを踏まえ、ストレスをできる限り軽減できるように注意しましょう。

3-3. 休憩場所の準備

猫の心身のケアをするためには、休憩場所の確保も大切です。

例えば、高さの異なるキャットタワーを用意して、一頭一頭がゆっくり過ごせる場所を用意することで、猫が自分の空間でリラックスできるようになります。

休憩場所には、爪とぎがあるとリラックス効果が倍増です。部屋自体のスペースも重要ですが、スペースを有効活用できるようにすることも大切です。

4.猫の複数飼育時のごはんの与え方

最後に、複数飼育時のごはんの与え方について解説します。

ごはんは、愛猫の健康に直結しており、飼い主さんとのコミュニケーションをはかるうえでもとても大切なポイントです。

4-1. ごはんは別々に与える

複数飼育時にはごはんを別々の器に用意して、それぞれ個別に与えることが基本です。

同じお皿でごはんを提供すると次のような問題が生じてしまうリスクがあるためです。

  • 猫同士がケンカをする
  • 力の強い猫が他の猫のごはんを独占する
  • 同じお皿でごはんを提供するのは、衛生面の観点から望ましくない

ただし、ごはんを個々に分けて提供するのはあくまでも原則です。

猫同士の関係が良好であれば、ドライフードなどごはんの種類によっては、一緒のお皿で提供しても問題ありません。

この場合は、体重管理をすると個々の摂取量が適切か把握できます。

猫同士の関係も重要ですが、複数飼育の場合は飼い主さんの負担も重くなるため、負担がかかり過ぎないようにすることも大切です。

4-2. ごはんは先住猫から与える

猫の複数飼育をする際には、先住猫から順にごはんを与えましょう。

もし3頭以上の猫を飼っている時には、家にやってきた順に提供するのが基本です。

先住猫から順にごはんを提供することが、先住猫を優先することになるためです。

猫同士の関係が良好で、大皿でフードを与えても猫同士の中で順番ができあがることもありますが、基本的にはごはんの順番によってストレス対策をすることも大切です。

4-3. ケンカ・横取り対策には仕切りやケージを使おう

距離感が近すぎると、ケンカやごはん・おやつなどの横取りが生じることもあります。

争いを最小限に抑えるためには、仕切りやケージを使用して、トラブルを最小限に抑えるようにしましょう。

ケンカを最小限に抑えることで、ケガのリスク・飼い主さんの負担の軽減につながります。

「せっかく複数飼育をするなら、一緒に仲良くごはんを食べている場面をたくさん見たい」という思いがあるかもしれません。

しかし、そのような思いは飼い主のエゴでしかないため、まずはケンカをしないようにスペースを分けることを重視しましょう。

5.まとめ

猫の複数飼育を始める際には、次の点をまず考慮する必要があります。

  • 部屋の広さ
  • 経済状況
  • 災害時の避難の方法
  • 新しい猫先住猫の健康状態のチェック
  • 繁殖の問題

上記の問題がクリアになれば、猫同士の相性・年齢・性格を考慮したうえで、複数飼育を検討しましょう。

このとき、特に先住猫にストレスを与えないように配慮をする必要があります。

新しい猫が来ることによって先住猫が強いストレスを感じると、寂しさから元気がなくなったり、トラブルが生じてしまったりする可能性が高いため徐々に慣れさせることが大切です。

猫同士が慣れてきて信頼関係が築けるとお昼寝やお食事の時間もとても楽しいもの変わります。

猫同士が仲良くじゃれ合っている姿や一緒にごはんを食べている様子は、単独飼育では味わえない可愛らしさがあります。

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