犬の熱中症対策6つ!症状・後遺症・応急処置・原因など完全網羅

「犬も熱中症になるって本当?」
「愛犬を熱中症から守る方法を知りたい!」
このような疑問を抱いている方は多いのではないでしょうか。
熱中症は人間だけでなく、犬にとっても危険な病気です。
熱中症で愛犬を危険にさらすことのないよう、飼い主さんは熱中症について知っておく必要があります。
そこで今回は、以下の内容について解説します。
・犬の熱中症の死亡率
・熱中症の初期・中期・末期症状
・熱中症による後遺症のリスク
・熱中症になった時の応急処置4STEP
・犬が熱中症になる5つの原因
・6つの熱中症対策
犬の熱中症について理解し、適切な対策をしましょう。
1. 犬の熱中症に注意!急患の死亡率は?
熱中症により受診した犬の死亡率は50〜60%と言われています。
助からない場合は受診後24時間以内に亡くなることが多く、早期治療が求められる緊急疾患です。
飼い主さんには、発症した場合の応急処置や熱中症の予防方法を知っておくことが求められます。
しっかりと対策して予防するのはもちろんですが、熱中症を発症した場合も落ち着いて対応できるよう、知識を身につけておきましょう。
2. 犬の熱中症はどんな症状が出る?初期・中期・末期症状
愛犬が熱中症になった場合、できるだけ早く体調の変化に気づいて処置する必要があります。
犬の熱中症の症状について知っておきましょう。
犬の熱中症の初期・中期・末期症状を解説します。
2-1. 犬の熱中症の初期症状
犬は短く浅い呼吸をし、ハアハアと舌を出して体温を下げようとすることがあります。
この呼吸法はパンディングと呼ばれ、体温調節のために必要な行為です。
普段よりもパンティングが速くなったり、治まらず長かったりする場合は熱中症を疑いましょう。
犬の熱中症の初期症状としては、過度なパンティングの他、「よだれを垂らしている」「体があつい」「落ち着きがない」などが挙げられます。
少しでも様子がおかしいと思ったら、重症化する前に素早く対応しましょう。
2-2. 犬の熱中症の中期症状
中期症状は体への負担が大きいため、愛犬の命を守るためには、対応を急ぐ必要があります。
体温が上昇して脈が速くなるのが特徴で、見た目には「目や口の中の粘膜が充血する」という症状が表れます。
一点を見つめてボーとしていたり、体の一部が震え始めたりしたら、熱中症の中期症状に移行していると考えましょう。
2-3. 犬の熱中症の末期症状
犬の熱中症は末期症状になると、嘔吐・下痢・脱水などの症状が表れ、意識がなくなり危険な状態になります。
酸欠状態になり、舌の色が紫色になったり、呼吸不全になったりすれば、事態は1分1秒を争うでしょう。
けいれん・心拍数の低下・血圧低下などの症状が出るのも特徴です。
「呼びかけに対する反応が鈍くなる」「ぐったりして起き上がれない」などの症状を経て、やがて意識を失います。
3. 犬の熱中症による後遺症のリスク
犬の熱中症は、重症化すると後遺症のリスクがあります。
臓器がダメージを受けた場合は、腎臓障害や肝機能障害になることがあります。
多飲多尿や食欲不振などの症状に注意しましょう。
脳の神経がダメージを受けた場合は、首が傾いた状態になったり、ふらついたりするなどの行動異常、脳障害が残ることがあります。
肺や心臓に負荷がかかった場合は、肺水腫や心不全になることもあります。
犬の熱中症は、ダメージを受けた箇所によりさまざまな後遺症のリスクがあると言えるでしょう。
熱中症は、このように重篤になる前に早期に応急処置をすることが大切になります。
4. 犬が熱中症になったときの応急処置4STEP
もしも愛犬が熱中症になった場合は、早期に動物病院を受診する必要がありますが、飼い主さんによる応急処置も大切です。
動物病院を受診するまでにするべきことを知っておきましょう。
犬が熱中症になったときの応急処置を4STEPで解説します。
4-1. 涼しい場所へ移動する
愛犬に熱中症の症状が見られたら、まずは日差しを避け、風通しの良い場所へ移動しましょう。
体温を下げるために水が必要になることを考慮し、自宅の場合は風呂場や庭の日陰に移動するのがおすすめです。
外出先の場合は、公園など水道のある場所が最適ですが、運わるく近くにない場合は、見つけるのは困難でしょう。
水道の有無に関わらず、とにかく涼しい場所へ移動することが最優先です。
アスファルトは温度が高くなりやすいため、道路の上は避けて、日陰に移動しましょう。
4-2. 水をかけて体温を下げる
涼しい場所へ移動したら、愛犬の体に水をかけて、体温を下げることが大切です。
自宅であればシャワー、外出先であれば公園などの水道が活用できるでしょう。
近くに水道がない場合は、コンビニや自販機などで飲料水を購入するという方法があります。
水をかけた後、扇風機やうちわなどで風をあてると、さらに体温が下がりやすくなるはずです。
水を直接かけるのではなく、濡らしたタオルをあてても良いでしょう。
4-3. 氷のうや保冷剤で部分的に冷やす
素早く体温を下げるために、首・脇の下・内ももに氷のうや保冷剤をあてるという方法があります。
呼吸がハアハアし始めたらまず首の周りを冷やすとよいでしょう。
ただし熱中症になると体温調節機能が鈍くなるので、はじめは体温が上昇し、ある時急に低体温になることがあります。
定期的に体温を確認し、冷やしすぎないように注意しましょう。
4-4. ゆっくりと水を飲ませる
熱中症は脱水症状を伴うため、愛犬が水を飲めそうな場合は、ゆっくりと水分補給をさせます。
嘔吐の原因にならないよう、少しずつ飲ませることが大切です。
飲めそうにない場合は、一刻も早く動物病院で点滴による水分補給が必要になります。
5. 犬が熱中症になる5つの原因とは
愛犬が熱中症になるのを防ぐためにはまず、熱中症になる原因を知っておく必要があります。
原因を知った上で、愛犬の熱中症対策に努めましょう。
犬が熱中症になる5つの原因を解説します。
5-1. 暑い日差しと照り返す熱気
熱中症は「暑い日差しに長時間さらされて発症する」というイメージを持っている方が多いでしょう。
犬も人間と同じく、暑い日差しにより熱中症を引き起こすことがあります。
ただ、人間とは異なり、犬は体高が低いので地面との距離が近く、路面の熱さと照り返しの熱気を受けやすくなっています。
真夏のアスファルトは50~60℃まで熱せられるとも言われており、真夏の日中は散歩向きではありません。
猛暑日は、排泄を家で済ませておき、散歩時間は最小限にしてリスクを減らしましょう。
日陰のない庭での外飼いや、真夏の日中における散歩などが、熱中症の原因になります。
5-2. 高温多湿で閉め切った空間
高温多湿な環境になると、日差しのない室内でも熱中症になる場合があります。
日当たりがいい部屋や日が差す窓際は、日照の影響が受けやすく室内でも高温になりがちな場所です。
換気が少ないと風通しも悪くなり熱中症リスクも高まる傾向があります。
部屋を閉め切って愛犬にお留守番させる場合は、エアコンをつけた状態で出かけましょう。
また、車内は窓を開けていても熱がこもりやすいため、注意が必要です。
熱中症になるリスクを考慮し、少しの時間であっても、愛犬を車内に置いていくのはやめましょう。
5-3. 過度な運動による体温上昇
運動すると体温が上がり、体温調節がうまくできないと、熱中症を引き起こす場合があります。
散歩やドッグランなどの運動をするときは、熱中症になっていないか確認しながら行いましょう。
気温や湿度が高いときは、熱中症を発症しやすくなるため、特に注意しなければなりません。
5-4. 冬の暖房による室温上昇
犬の熱中症は夏だけでなく、冬に発症する場合もあります。
冬は暖房の使い方に注意しましょう。
犬の平均体温は人間よりも高いため、人間にとっては暖かくても、犬にとっては暑すぎる場合があります。
室温は20度前後に保ち、犬に直接温風があたらないようにすることが大切です。
愛犬がこたつに入ってきた場合は、片側の布団を上げて高温になるのを防ぐか、電源を切って対応しましょう。
5-5. 熱中症になりやすい体質
犬の種類や体質により、熱中症になるリスクの高さが異なるため、以下に熱中症になりやすい犬種や体質を整理します。
- 上部気道が短く、熱を発散する能力が低い短頭種
- 暑さに弱く、毛が密な北欧犬種
- 日光の熱を吸収しやすい黒色の毛をもつ犬種
- 路面からの熱を受けやすい短足の犬種
- 体温調節が上手にできない子犬やシニア犬
- 療養中あるいは気道狭窄などの持病をもつ犬
- 皮下脂肪が多く、体温の下がりにくい肥満の犬
愛犬がいずれかに当てはまる場合は、熱中症になりやすいと考え、しっかりと対策しましょう。
6. 犬の熱中症を予防したい!6つの熱中症対策とは?
愛犬に長生きしてもらうためには、熱中症を予防することが大切です。
犬は言葉で訴えられないため、飼い主さんが快適な環境を整える必要があるでしょう。
愛犬を守るための6つの熱中症対策を解説します。
6-1. 日陰かつ風通しの良い場所を確保する
暑い日差しや高温多湿な空間は、熱中症の原因になるため、日陰かつ風通しの良い場所を確保することが大切です。
外飼いの場合は、犬舎を日陰に設置しましょう。
日陰がない場合はすだれやサンシェードなどを設置すれば、日陰を作れます。
室内飼いの場合は、日陰かつ風通しの良い場所にサークルやクレートを設置するのがポイントです。
特にサークルは愛犬の意思で出られないため、直射日光のあたる窓際に設置しないようにしましょう。
6-2. エアコンで室温と湿度を調整する
気温が22℃を超えると熱中症になるリスクが高まるため、エアコンを利用して室温と湿度を調整しましょう。
エアコンの温度は外の気温との差が5℃くらいだと、愛犬の体に負担がかからないと言われています。
25~27℃を目安にして、室温を設定すると良いでしょう。
湿度が高い日は、エアコンの除湿機能を利用すれば、熱中症の原因となる多湿な環境を改善できます。
梅雨の時期は、特に湿度が高くなりやすいため注意しましょう。
また、室内だけでなく、車内における熱中症対策としてもエアコンは効果的ですが、車内ではエアコンの風が届きにくい位置もあります。
車の後部座席に愛犬を乗せる場合は、エアコンの風が愛犬のいる位置まで届いているか確認しましょう。
6-3. 飲み水を常に用意しておく
飲み水を常に用意し、愛犬の脱水を防ぐことは、熱中症のリスク低減につながります。
飲み水がなくなっていないかこまめにチェックし、新鮮な水を用意しましょう。
お水の設置場所を増やすのも、熱中症対策として効果的です。
お水の設置場所は、2ヵ所以上置いていくと安心です。
水分補給について詳しく知りたい場合は、こちらの記事が参考になります。
⇒「犬の水分補給がうまくできているか不安!チェックポイントと水分の与え方のコツを解説」
6-4. ひんやりグッズを設置する
愛犬の体温が上がりすぎないようにするためには、エアコンの他にひんやりマットやアルミプレートなどのひんやりグッズを活用するという方法があります。
春と夏の変わり目など、エアコンをつけるほど気温が高くない時期は、ひんやりグッズを設置して、愛犬が必要なときだけ使えるようにすると良いでしょう。
また、電気を使わないひんやりグッズは、落雷などで突然停電し、エアコンが停止した際の熱中症対策にもなります。
6-5. 散歩は涼しい時間帯にする
暑い日差しや照り返す熱気は、熱中症のリスクを上げるため、散歩は涼しい時間帯を選びましょう。
日中を避け、早朝や夕方に散歩すれば、快適に楽しめます。
真夏の散歩は、路面があたたまっていない早朝に行くのが最適です。
熱帯夜が増えているので夜の散歩も意外と危険な場合もあります。
さらには日中の熱を吸収したマンホールを踏んでしまい、肉球をやけどするケースも増えていますので注意が必要です。
散歩に行けない日は、運動不足にならないよう、室内でたくさん遊んであげると良いでしょう。
犬の適切な散歩の仕方については、こちらの記事が参考になります。
⇒「犬の散歩の基本を完全解説!散歩の必要性やメリットを紹介」
6-6. 水遊びをして体温を下げる
必須ではありませんが、庭に簡易プールやタライを設置して水遊びをすると、熱中症対策になります。
水に浮かぶおもちゃを用意すると、より楽しめるかもしれません。
水の中では普段使わない筋肉を使うため、筋力がつくのもメリットです。
水遊びにはダイエット効果やストレス解消も期待できるでしょう。
自宅の庭などにプールを設置できない場合は、ドッグプールを利用するのがおすすめです。
浴室での水遊びでは、換気扇の付け忘れに注意しましょう。
熱気と湿気が浴室にこもってしまい熱中症を起こしてしまうケースもあります。
7. まとめ
犬の熱中症は、後遺症のリスクがあるだけでなく、最悪の場合は死に至る可能性もある恐ろしい病気です。
飼い主さんが日ごろから気を付けていれば熱中症は防ぐことができます。
今回ご紹介した6つの熱中症対策をまとめると、以下のとおりです。
- 日陰かつ風通しの良い場所を確保する
- エアコンで室温と湿度を調整する
- 飲み水を常に用意しておく
- ひんやりグッズを設置する
- 散歩は涼しい時間帯にする
- 水遊びをして体温を下げる
適切な熱中症対策をして愛犬の健康を守りましょう。
少しでも気になることがあれば、ためらわずすぐに獣医師に相談ください。
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