愛犬の口臭が気になる?原因と効果的な対策とは?
#犬の口が臭い #犬の口臭 #犬の歯周病愛犬と一緒に生活をしていて、ふとした時に口臭が気になった経験をもつ飼い主さんは少なくないと思います。
犬は歯周病になりやすいという事実が最近少しずつ知られてきてはいますが、そのほかにも口の臭いにはさまざまな要因があります。
原因によっては、大きなトラブルにつながるリスクもあるため、原因を突き止めて対策を考えることはとても大切です。
この記事では、愛犬の口の臭いが気になる飼い主さんに向けて、口臭の原因や対処法を解説します。
愛犬が長く健康で過ごせるためにも、臭いに関して不快な思いをしなくても済むためにも、ぜひ参考にしてください。
1.愛犬の口臭が気になるときには病院へ行くべき?
愛犬の口臭には、いくつか考えられる原因があり、緊急性が高いものとそうでないものとに分類できます。
緊急性の高いケースの例では、胃痛や腹痛などから引き起こすものがあり、対応が遅くなると痛みが強くなってしまったり、治療の遅れによって病状が深刻化してしまったりするリスクがあります。
緊急性が低いものとしては、口腔環境の悪化などが挙げられます。
自体が深刻化をする前に、正しい処置をすれば症状が改善することもありますが、こちらも放置をすると状況が悪化して歯周病や深刻な病気につながることも考えられます。
したがって、愛犬の口臭が気になっている方は、まず動物病院に相談してみることをオススメします。
仮に治療が必要なほどの症状ではなかったとしても、日頃の歯磨きのやり方や口臭が気になるときの対処法などのアドバイスが受けられるためです。
2.緊急性が高い犬の口臭原因
臓器の疾患や歯周病などの疾病などが口臭の原因となっている場合、深刻な状況につながるリスクがあります。
これらの症状を放置してしまうと、遅かれ早かれ大きな健康上の被害を招くことがあるためです。
この章では、症状別に犬の口臭原因や症状の特徴を解説します。
2-1.肝臓や腎臓
肝臓や腎臓に異常が生じていると、口からアンモニアのような臭いが発せられます。
まずは、もともとの肝臓と腎臓の働きを確認してみましょう。
・肝臓・・・栄養素の分解・合成・貯蔵をおこなったり、体の毒素を分解して無害化したりするための臓器です。(病名:肝硬変・高アンモニア血症 肝性脳症など)
・腎臓・・・尿や赤血球をつくったり、血圧を調整したりする臓器です。(病名:慢性腎不全・尿毒症など)
肝臓も腎臓も、犬が生きるためには欠かせない臓器です。
これらの不調が強いアンモニア臭になるのは、毒素であるアンモニアを分解できなくなるほど腎臓や肝臓の機能が損なわれているためです。
体の外に排出する必要がある物質が体内に溜まってしまうと、口からアンモニア臭のような異臭が発生することがあります。
実際、かなり症状が悪化しない限り、口臭の症状はあらわれません。
また、これらの症状の場合は口臭のほかに、元気がなくなってぐったりするなどの症状がみられるケースが多いです。
いずれにせよ、深刻な事態を招くリスクが高いので、一刻も早く動物病院を受診するようにしてください。
2-2.胃
胃の機能が低下すると、食べたものがうまく消化されずに悪臭になってしまうことがあります。
胃の機能低下による口臭は、酸っぱい感じの臭いがします。
胃酸の過剰分泌のためです。胃酸が過剰分泌される病気は、胃炎(胃潰瘍や急性胃炎)などがあります。
胃炎を罹患していると、胃酸の分泌が活発になり、胃の内容物を吐き出したり、胃液を嘔吐したりします。
いずれの場合でも、嘔吐や食欲不振などの症状を伴うケースが多いので、長期化しないように注意する必要があります。
2-3.腸閉塞
腸閉塞(イレウス)になると、体内で正常に便を移動させられなくなるため、口臭が便のような臭いになります。
また、お腹の痛み・吐き気・嘔吐などのさまざまな症状を伴い、悪化すると生命の危険にもつながります。
したがって、口から便のような臭いがしたときには、一刻も早く動物病院を受診しましょう。
2-4.糖尿病
犬の口や尿から甘酸っぱいフルーツのような臭い(アセトン臭)がしたときには、糖尿病を患っている可能性があります。
糖尿病は、血液中の糖分のコントロールがうまくできなくなる病気です。
シニア犬ほど発症しやすくなり、多飲多尿・衰弱・体重減少などの症状があらわれます。また、さまざまな合併症を引き起こす病気でもあります。
基本的な治療法はインシュリンの投与ですが、生活習慣の改善を含めた総合的な獣医師の指示が必要であるため、早めの対処が必要です。
2-5.歯周病
犬の口臭原因の多くが、歯周病によるものです。
それほど犬にとって歯周病のリスクは高く、イギリス最大の獣医学校であるロイヤル・ベタリナリー大学の研究レポートにおいて「3歳以上の成犬の87%以上が、歯周病を患っている」と報告されています。
参考:https://www.rvc.ac.uk/review/Dentistry/Shared_Media/pdfs/perio_print.pdf
口臭が目立ってくると、細菌が歯肉から血中に入り込んだり、体内に摂取されるなどにより、感染症を引き起こしたりするリスクにもつながります。
3.そのほかの愛犬の口臭の原因
前章でご紹介したリスクと比較をすると深刻度は低いものの、無視することができない口臭原因もあります。
比較的状況が軽いうちに対策をとることで、臭いの問題が深刻化する前に対策できます。
3-1.口内環境が悪い
鼻炎によって鼻づまりになったり、常に口を開けていて口の中が乾燥したりしていると、口内環境が悪くなり、唾液が濃縮され「生臭い」「魚臭い」の臭いが発生します。
軽度な鼻炎であれば、様子を見て対処できるケースもありますが、炎症による鼻腔の腫れや口呼吸が慢性化すると鼻水がドロドロになる副鼻腔炎に発展することもあります。
長引かせないようにするには、やはり動物病院の受診がオススメです。
3-2.食べ物が悪い
愛犬が食べているフード自体の臭いが強いケースもあります。
典型的な例は、嗜好性を高めるためにフードに人工的に臭いがつけられていたり、フードの鮮度が落ちて油脂や原材料の劣化などによって臭いが悪くなっていたりするケースです。
ドライフードについては、乾燥しているため傷みにくいと誤解されがちですが、実際は油脂を多く含んでいるため傷みやすい傾向があります。
傷んだフードを食べた場合のデメリットは、以下のとおりです。
- 本来、フードに含まれているはずの栄養素が破壊されており、必要な栄養を摂取できない
- 下痢・腹痛や嘔吐などの健康被害につながるリスクがある
- 継続的に傷んだフードを摂取した場合、肝機能低下・腎泌尿器障害・動脈硬化などの病気の原因になる
したがって、フードが原因で悪臭が生じている場合には、直ちにフードを変更する必要があります。
フードの管理は徹底して行うようにしましょう。
与えているフードが傷んでいる場合、食べカスが口の中で腐敗して、口臭につながることがあります。
ウェットフード、ドライフードともに開封後に放置しておくと、劣化・酸化が進んで痛むため、食べきりサイズを選んだり、しっかりと封をする癖を付けるなど対策が必要です。
3-3.ストレスを感じている
犬は強いストレスを感じると、唾液の分泌量が減り口臭が強くなります。
ストレスの大きな特徴は、あくびを頻繁に繰り返すことです。
また、犬が強いストレスを感じている場合には、問題行動を起こしたり、よく吠えたりするなどのストレスサインを出すこともあります。
ストレスの程度が大きくなると、体調不良につながることもあるため、いくつかのサインを感じたら原因の対策を検討しましょう。
4.愛犬の口臭が気になったときの3つのチェックポイント
愛犬の口臭が気になったときに、症状が深刻かどうかを見極めるためのポイントとして、3つのチェックポイントがあります。
この章でご紹介するチェックポイントを意識することで、必要な際にスムーズに対策をとることが可能になります。
4-1.体調
口臭が気になるときに、同時に体調不良の症状も見られる際には、動物病院での治療や相談の必要があります。
症状によっては、すでに病状が進行してから口臭などの症状が現れるものもあるので、このようなケースでは早急な対応を心がけましょう。
また、体調の異変にすぐに気がつけるようにするためにも、日頃からていねいに様子を観察することが重要です。
4-2.日頃の口腔ケアの状況
日常的に歯磨きをきちんとして、口腔衛生に気を配っているにもかかわらず口臭が気になる場合には、歯周病以外のトラブルが生じているかもしれません。
上述の通り、犬は歯周病のリスクが非常に高いため、ていねいにケアをしていても歯周病リスクが0になるわけではありません。
しかし、歯周病は口臭の原因の最も大きな割合を占めるものなので、例えば口臭が気になり始めてからであっても口腔ケアの意識を強く持つことは、とても大切です。
4-3.食糞や強いにおいのするフードを食べていないか?
愛犬が口にしているものに気を配ることもとても大切です。
便のような臭いがする際には、腸の疾患が疑われますが、もう一つの大きな要因として食糞の可能性もあります。
食糞の原因は、単なる好奇心だったり、飼い主さんにかまってほしい気持ちからだったりとさまざまです。
成長とともに自然に食糞の習慣はなくなるケースがほとんどですが、その場合はお腹がすかないように注意してフードを与える、などの対策が必要です。
また、フードが劣化して悪臭の原因になっている場合には、フードの変更と保管方法の見直しが必要です。
質のよいフードを与えることを意識するとともに、保管方法に関しては以下の点に注意しましょう。
- できるだけ早めに消費する
- 直射日光に当てないように注意する
- 信頼できるメーカーのフードを購入する
5.愛犬の口臭が気になるときの3つの対処法
最後に、愛犬の口臭が気になるときの3つの対処法を解説します。
ここでご紹介する3点の方法を意識すれば、いざ口臭が気になった時に冷静に必要な対処法が取れるでしょう。
5-1.緊急性が高いときには動物病院へ
緊急性の判断をするためには、まず愛犬の口の中を見てみましょう。
口腔内の病気の場合には、腫瘍などの異常を発見できます。
内臓の異常や糖尿病などのケースでは、飼い主さんが正確な診断をするのは極めて困難です。
したがって、口臭以外の症状(元気・食欲・体毛のツヤ・排便の状態など)を感じ取れるか否かが大きなポイントになります。
「いつもと少し様子が違う」
「なんとなく元気がない」
といったような違和感をもったら、迷わずに動物病院を受診することをオススメします。
5-2.デンタルケア
歯周病や口内環境の悪化による口臭は、日頃のデンタルケアにより大部分を予防できます。
すでに歯周病が進行している際には、動物病院で歯石の除去をしてもらってから、ケアをおこなうようにしましょう。
歯磨きのやり方がわからない場合や、しようとしても愛犬が嫌がって口をあけてくれない場合などは、動物病院でやり方やコツを相談できます。
また、歯磨きのやり方のコツは「犬も歯磨きは必要?始める時期や磨き方のコツ・便利グッズまとめ」の記事でもご紹介しているので、不安に感じている方はぜひチェックしてください。
5-3.フードの変更
フードの変更によって口臭対策をする際には、以下の点に注意してフードを選びましょう。
- 良質なたんぱく質を原材料としたフード(お肉や魚を主原料として、人工的な香料などが用いられていないもの)
- 極端に安価でないもの
- ほかのフードと比べて賞味期限が長すぎたり、短すぎたりしないフード
フードは、臭い対策だけではなく必要な栄養素が摂取できることや、愛犬の食いつきがよいものを選ぶことも重要です。
フード変更する際は下記の点にも注意してください。
6.まとめ
犬の口臭が気になる場合、その原因の多くの割合を占めるのは歯周病です。
歯周病を防ぐためには、日頃のていねいなデンタルケアが欠かせません。
また、歯周病以外にも臓器の病気や糖尿病などの、より深刻な原因が潜んでいる場合もあります。
愛犬の口臭に気がついた飼い主さんは、まず口内の状況を確認したうえで、動物病院を受診するか否かの判断をしましょう。
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